阿闍梨【外伝】一隅を照らす

❖有り難くいただく

引用 天台宗公式サイト 法話集


(鎌倉 明月院)

 

有り難くいただく


 天台宗では、「加行(けぎょう)」という厳しく、長期にわたる修行を満行しないことには住職の資格が与えられません。私は今から23年前の夏、その「加行」に延暦寺行院で挑みました。ここでは、修行中の「食事」から得た思いを述べてみたいと思います。


 「日常行っている当たり前のことを徹底的に行え」というのが行院での先生の指導でした。音一つたてることなく静かに食事をいただくことが修行の原点です。「当たり前のことを徹底的に行う」ことで食事することのありがたさが見え、「見えないものが見えてくる」ようになるのです。


 朝食は食時作法に則りお経をあげ、先生方が箸をつけた後に我々行院生も食べ始めます。まず昆布の佃煮を丼のお粥の中に入れ、次いで梅干しを口の中に入れて種を皿の上に出します。梅の酸味とともに沢庵を挟んだ箸を使ってお粥を飲み込みます。お粥を食べ終えると、お茶を丼の中に入れ沢庵を巧みに使って洗鉢を行いすべてのお茶を飲み込んで朝食は終了します。


 昼食と夕食は、丼一杯のご飯と汁、おかず二皿という一汁二菜です。ご飯を盛りすぎて、食事が他の者よりも遅れることは許されません。皿をテーブルに置く際に音を立てることも厳禁です。そこで最少の動作で済ませるために、一つの皿のおかずならおかずだけを食べ、口中に残ったおかずの余韻でご飯を可能な限りかき込み汁を飲むという動作を数回繰り返します。当初は味も何も感じることなく、ひたすら飲み込む作業に終始していましたが、次第に慣れてくるにつれご飯やおかずのおいしさを味わいつつ、それでいて迅速に食べられるようになりました。


 修行中の食事は「精進」です。肉・魚は一切提供されず、みそ汁も昆布と椎茸のだしのみです。米や野菜類は無農薬・有機農法での栽培です。行院に入り数日後、自分の体臭がやけに青臭く感じられ、それとともに世俗の食事の毒が少しずつ取り除かれていくように感じました。それを裏付けるかのように、先が割れていた爪は割れることなく艶やかに光るようになりました。また、修行の後半は2~3時間睡眠の日々が続き目が赤く充血して当然と考えていましたが、白目は白くそして瞳は澄みわたり、不思議と元気が湧き出るのを実感しました。


 23年たった現在でも、「まっとうに毎回の食事をいただくことがいかに難しいことか」という思いは変わりません。真実への第一歩は「有り難い食事を有り難くいただく」であると今も心に刻みついています。



(文・珊瑚寺 内田 堯重)

掲載日:2023年07月01日

https://www.tendai.or.jp/houwashuu/kiji.php?nid=253





住職でシンガーソングライターの三浦明利さん ベストアルバム「月愛三昧」リリース

2024/6/16 07:30 産経新聞


光明寺(奈良県大淀町、浄土真宗本願寺派)の住職でシンガーソングライターの三浦明利(あかり)さん(41)が、これまでの感謝の思いを込めたベストアルバムCD「月愛三昧(がつあいざんまい)-MIURA AKARI THE BEST」(日本コロムビア)をリリースした。


平成23年にデビューした三浦さんは、仏教の心を盛り込んで作った歌を各地で披露している。今回のCDには新曲の「ボーダーレス」と「一瞬一瞬」を含む計17曲を収録。タイトルの「月愛三昧」は、悩める人を癒す月光のような慈悲の心を意味する。


「ありがとう~わたしを包むすべてに~」は自主制作版の「ありがとう」をピアノバーションで新たに録音。三浦さんは5月、光明寺本堂で開催した「寺子屋コンサート」で「ありがとう」などを歌い、会場は何度も拍手に包まれた。CDは税込み2千円で販売。

https://www.sankei.com/article/20240616-XLXRJYPYCRI27CFNAWZPSDFAYI/