阿闍梨【外伝】一隅を照らす

❖観想が大事

引用 天台宗公式サイト 法話集




 

観想が大事


 護摩をたくなど、密教の作法をする行者は、身体でする所作や、口でとなえる真言に細心の注意をはらいますが、心の中に思い浮かべる意識を一番大切にします。これを観想(かんそう)と言い、行者は「今、自分は御本尊の不動明王様と一体なのだ」とか、「自分は大日如来様なのだ」などと観想しながら作法を続けます。「観想なき作法は児戯(じぎ)に等しい」と言われるほど、観想が大事とされます。


 さて、私は田舎にある檀家さん四十数軒の寺にお仕えする住職ですが、檀家さんの法事にうかがうと、お仏壇のお供えの仕方が色々で、それぞれの家のカラーがあります。たとえば、ある家では、お仏壇のろうそくに火が灯り、線香が立ち、焼香器の炭に火がついています。私が行けば、すぐに法事を始められるよう、準備万端ととのえて下さっています。


別の家では、ろうそくや線香に火をつけず私の到着を待って下さっています。先のお家の人たちは私に親切にと考えておられ、後のお家の人たちは、和尚が火をつけた方がより功徳があると思っておられるのです。


 私の方から統一をお願いすることはありません。私がすることは、ろうそくに火がついていればその火を見つめ、火がついていなければライターを手に取り、そして延暦寺の根本中堂の内陣の様子を観想します。このお仏壇の火は、根本中堂で一二五〇年以上も灯り続けている「不滅の法灯」からお分けていただいた、と念じてからお経をはじめます。


 これは私の個人的な習慣で、天台宗の決まりではありません。よく考えてみれば、昔は火打ち石しかなくて、着火自体がちょっとした労働でした。天台宗の作法は手元に種火がある事を前提にしているように見受けられます。火は分火してくるのがほとんどで、火打ち石で点火する時にどう観想するか、という決まりは無かったのでしょう。それならば、現代のわれわれは、ライターで簡単に点火できることに感謝しつつ、「比叡山の不滅の法灯を想いつつ灯した火を御供えさせていただきます」と念じてはいかがでしょうか。


 ただ、このお話はうちの檀家さんには内緒です。


法事に行って、お仏壇の前に「火打ち石」が置いてあったら困りますので。 



(文・道成寺 小野 俊成)

掲載日:2017年11月01日

https://www.tendai.or.jp/houwashuu/kiji.php?nid=188


仏法興隆花まつり千僧法要─和の集い、世界平和の祈り─



 

世界に向けて、平和の祈りを共鳴させましょう


全日本仏教青年会では、昭和63年より毎年4月26日に仏法興隆と世界平和を願い、華厳宗大本山東大寺様において花まつり千僧法要を開催しております。当会加盟団体より全国各地から多くの青年僧が参集し、宗派の垣根を超え、互いを尊重し合いながら慶讃の人々と共に法要を営んでまいりました。


コロナ禍により数年間は中止や規模縮小の事態はありましたが、2021年開催の東京オリンピックから2025年開催予定の関西万博を控え、日本が世界から注目され、日本から世界に発信できる機会が増えてきた昨今。お釈迦様が説かれ、長い旅路を経て我が国に伝えられ、聖徳太子が根付かせ、聖武天皇が引き継がれ、多くの祖師先徳方により我々に受け継がれてきた仏法、そして和の精神を、和食・和服・和式等で表される和の国日本から東大寺様を祈りの場として先ずは本年正月に発災しました令和六年能登半島地震罹災物故者お一人おひとりの慰霊と、罹災地早期復興祈願。そして日本全国の安寧と発展。延いては世界平和及び世界の調和を祈念するべく本年は「和の集い、平和の祈り」と題し開催致したいと存じます。つきましては出来るだけ多くの皆様にも我々の祈りにご参列頂きたくご案内申し上げます。

4月26日に仏法興隆花まつり千僧法要が奈良県東大寺において厳修されました。


全日本仏教青年会が主催の本法要は、コロナ蔓延期間中も人数制限などを行いながら継続されましたが、本年よりは制限無く国内宗派各仏青などより数百名の会員が参集しています。

平和と人々の心の救済を祈念して36年前に初まった青年僧の祈りは、世界の和となるよう現在に受け継がれています。


仏法興隆花まつり千僧法要は下記の参加団体に寄って行われました。


主催:全日本仏教青年会

共催:東大寺、南都二六会

協力:天台仏教青年連盟、金峯山青年僧の会、和宗仏教青年連盟、全真言宗青年連盟、全国浄土宗青年会、融通念佛宗青年会、臨済宗青年僧の会、全国曹洞宗青年会、全国日蓮宗青年会、埼玉県仏教青年会、神奈川県仏教青年会、大阪府佛教青年会、(一社)神戸青年仏教徒会、奈良県曹洞宗青年会