普賢菩薩は、文殊菩薩とともに釈迦如来の脇侍をつとめ、六牙の白い象に乗っている。左手に剣を立てた蓮華を持ち、右手は、拳を上に向けてくすり指と小指を曲げる三業妙善の印を結んでいた。普賢菩薩は、仏の功徳をほどこし、仏のもつ「慈悲」を象徴する菩薩とされている。法華堂の本尊はこの普賢菩薩であった。
「無我夢中で仏さんと一体になれば、念仏が自然に出てくるんだ。自分の頭の中でもって、念仏を唱えなきゃというんじゃなくて、ふっと湧き出てくるんや。で、その『南無』と言うときは、もう左の足が勝手にあるきだす。それを身につけると、時間の感覚がなくなって、苦しくもない。ぐるぐる、ぐるぐる回るけど、桃源郷に入ったような感じで、楽しかったというのはそこにあるんだよ」
比叡山と普賢菩薩
比叡山では、毎年4月に四箇大法の一つとして、普賢延命法が行われ、普賢延命菩薩は延暦寺ではゆかりの深い尊格として知られています。大きな円相に金色に輝く20臂(ひ)の普賢延命菩薩が描かれています。頭部には煌びやかな五智宝冠をかぶり、各手には様々な持物を執り、菩薩がのる寒色系の蓮台は、四頭の白象(頭上に四天王が立つ)が支えています。白象には「照り隈」の技法が使われ、エキゾチックな雰囲気を表しています。着衣や台座などにみせる細やかな截金(きりかね)文様や緑青の繧繝(うんげん)彩色の技法も、艶やかで装飾的に表されています。なお、箱書きにより、江戸時代に寛永寺東漸院宣海(とうぜんいんせんかい)が延暦寺止観院に寄進したものであることがわかります。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240401/15/yume-ichijo/66/25/j/o0540108015420162936.jpg?caw=800)
普賢菩薩『十の誓願』
『華厳経』の「普賢行願品」では、普賢菩薩のこのような10の誓願が説かれています。
まさに十種の広大の行願を修すべし。
なんらをか十となす。
一には、諸仏を礼敬す。
二には、如来を称讃す。
三には、広く供養を修す。
四には、業障を懺悔す。
五には、功徳に随喜す。
六には、転法輪を請す。
七には、仏住世を請う。
八には、常に仏の学に随う。
九には、衆生に恒に順ず。
十には、普くみな廻向す。
(漢文:應修十種廣大行願 何等爲十 一者禮敬諸佛 二者稱讃如來 三者廣修供養 四者懺悔業障 五者隨喜功徳 六者請轉法輪 七者請佛住世 八者常隨佛學 九者恒順衆生 十者普皆迴向)
(引用:『華厳経』)
1.諸仏を敬う
2.仏のお徳を称讃する
3.諸仏を広く供養する
4.悪い行いを懺悔する
5.仏の功徳をともに喜ぶ
6.仏が教えを説かれるようお願いする
7.仏が涅槃ねはんに入られずにこの世にとどまってくださるようお願いする
8.常に仏にしたがって学ぶ
9.常に相手に応じて導く
10.功徳をすぺての人に施す
これを普賢菩薩の十願とか行願といいます。