❖【外伝】比叡山龍ケ池と元三大師。


一月三日は『元三大師』の御命日でした。比叡山延暦寺においても法要が行われました。


 

本日は、比叡山中興の祖といわれる慈恵大師良源様の御命日になります。

早朝、横川元三大師堂にて元三会の論義法要が修されました。

正月三日に亡くなられたので、元三大師と呼ばれています。

非常に霊験の強い方で、魔除けの「角大師」や「豆(魔滅)大師」は、全国で広く信仰されています。


引用 比叡山延暦寺公式サイト

比叡山延暦寺・横川中堂近くに『蛇ケ池』通称『龍ケ池』という池があります。本年は辰年ということで、元三大師とゆかりのこの池をご紹介します。


比叡山の七不思議の一つに『蛇ケ池伝説』があります。


諸説ありますが、現地の案内板には次のように書かれています。







 

延暦寺古書に曰(いわく) 昔この池に大蛇が住みつき村人達に害を与えていた。 元三大師これを聞き大蛇に向い “汝―法力を持っていると聞くが本当か” とおたずねになった。 大蛇は、威猛々に “本当ダ俺に出来ないことは何もない” と答えました。 大師は “ナラバ大きい姿になってみよ” と申されるとお安いご用とばかり数十倍の大きさに変身しました。 大師は再び “デワ小さくなり私の手の平に乗れるか” とのお言葉に “承知” とばかり小さくなり手の平の中に入りました。 大師がすぐさま観音様の念力により閉じ込めてしまわれました。 そして弁天様をお迎えし小さくなった大蛇をお渡しになり弁天様のお侍いとしてお側に仕えさせて頂きたいとお願いされました。 大蛇も大師に諭され前非を悔い今度は自分の持っている法力を善業に向け横川の地を訪れる人の道中の安全と心願の成就の助けをしようと大師に誓いました。 以後訪れる人の幸せを願い助力を盡(つ)くしております。 別名 “雨乞いの弁天様” としても有名であります。 大変法力のある弁天様と龍神様であります。 ご信心下さい。

また、ある書籍には、


 

【その手に乗るな】の語源説


その昔、この池には大蛇が棲み着いていて、通りがかった村人を襲っては喰っていたそうです。それを知った高僧の秀憲(しゅうけん)は、その大蛇を退治するために蛇ヶ池にやって来ました。


秀憲が池の畔にたたずみ、呪文を唱えると、池の真ん中辺りから、ザバーッと水しぶきを上げて、大蛇が現れました。秀憲は大蛇に向かって、「お前は法力を持っているそうだが、その証拠を私に見せてくれないか」と頼みました。すると、大蛇が「よし、見せてやろう」と答えた途端、雷が鳴り響き、大蛇はみるみる大きくなり、なんと比叡の山を7巻半も出来るぐらいに巨大になったのです。



それには秀憲と言えども、さすがに驚きましたが、すぐに気を取り直して、今度は「ほー、これは噂通りにスゴい!お見事、お見事。では、今度は私のこの手のひらに乗れるほど、小さくなることはできるか?」と言うと、大蛇は「そんなことは容易いこと」と言って、どんどん小さくなり、秀憲が差し出した右の手のひらに乗ってとぐろを巻きました。その瞬間、秀憲は観音様の念力で大蛇を動けないように封じ込めてしまったのです。秀憲の作戦勝ち!見事、大蛇を退治することに成功したのでした。


この話からすると、大蛇の法力は相当なものだったようですが、頭の方はあまりよろしくはなかったようですね。その後、自分の行いを悔いた大蛇は、横川を訪れる人たちの道中の安全と心願成就に助力し続けたと言われています。もしかすると、今も見守ってくれているかもしれません。


因みに“策略にはまってはダメ”という意味で「その手に乗るな」と言ったりしますが、この言葉は、秀憲の手のひらに大蛇が乗ったことに由来しているという説があります。

【一隅を照らす 三体の龍】


昨年、比叡山延暦寺国宝殿にて開催された『塩谷榮一 奉納記念展覧会 比叡山に龍が舞う』で奉納された『一隅を照らす 三体の龍』。





甲辰の年の新年に、『龍』と『元三大師』を思い浮かべました。


良源(912~985) 第18世天台座主 元三大師


 近江の人。南都の学匠を論破し(応和の宗論)、名声が響き渡った。多くの門下があり、源信・覚運などの偉才を輩出した。学問を奨励し、荒廃した比叡山を復興・拡充したので、叡山中興の祖と仰がれる。角大師・豆大師として庶民に広く信仰される。おみくじの元祖でもある。