昨日のアラブの王子は
ダンディーなスーツを着こなす紳士だけど
うちの夫はもう少しスポーティーな服を
買い続ける男だ。
家庭を持ってもこれだけ洋服を買い続けるのだから
独身時代はもっと酷かった。
自分が働いたお金を
いくらでも洋服に注ぎ込めたから。
しかも独身時代は超高級ブランドにも手を出していたらしい。
きっと今までの洋服購入金額を合計したら
モロッコにアパルタメントが何軒も買えただろう。
そして今頃その家賃だけでも
悠々自適な暮らしが出来ていたに違いない。
イタリアではこういう人間を
ha le mani bucate
という。
手に穴が開いている
つまり浪費家という意味だ。
これはもう、先代から受け継がれたDNAなので
今更どうしようもない。
彼の祖父はカサブランカで
相当な不動産王だったのに
良い人過ぎて、みんなに財産を配ってしまったのと
今を楽しむ人だったことから
旅行しまくって、散財し過ぎて
一人娘に残した財産は中心街の小さなアパート2軒だけだった。
その一人娘の旦那(夫の父親)も相当な善人&浪費家で
田舎から出てくる親戚達にも
毎回大盤振る舞いし続けて
結局若くして未亡人となる妻には何も残っていなかった。
これはイスラム的考え方からくるものでもある。
イスラムは喜捨が義務とされているのと
1人財産を抱え込むことを良しとしないのが常識なので
全て持つものは弱者に分け与え
幸せを分かち合い、今を楽しむ文化なのだ。
だけど、それをまともに実行すると
善人はバカを見る形になりかねない。
でも、それで良いのだ。
イスラム社会では心配している人など誰もいない。
とことん、今を生きるのが良いのだ。
明日何か起こったら、
周りの人間達が助けてくれる文化なのだ。
だから、夫も今を生きているのだ。
毎日、毎日、仕事に行くだけなのにオシャレして
そういう自分でいて、そんな自分で生き抜きたいのだ。
ずっと先代からそれを実行している人だなんて
知らなかった私が
今更、洋服買うのやめてよ
フルーツ買い続けるのやめてよ
と言ったって、彼は止められないのだ。
もちろん、義姉にも何も残っていなかった。
義姉の前で泣くとお金をくれる
それくらい、バカで良い人なのだ。
だから息子も泣きつくし
フィレンツェの沢山の友人も彼女に泣きついた。
そして義姉はお金をみんなにあげちゃうのだ
義姉が脳梗塞で倒れた途端
その友人達はいなくなった。
お金をくれない人には用はないからだ
夫はそこまでバカではないけれど
ファッション好きなバカだ。
もう、これは衝動と共に生きているのでやめられない。
ただ、独身の頃のような
ハイブランドにはもう手出しをしないし
テキトーなブランド品をセール価格で買うのを楽しみにしている。
その中でも笑ってしまうコレクションがある。
彼が好んで買っているスニーカーなのだが
どうも私にはこのマークが
カタカナの「ホ」にしか見えない。
Premiataというブランドらしいのだが
夫は新色がセールになる度に買ってくる。
もう、既に5色くらいのコレクションはあると思う
馴染みの店でこの靴の新色を見ると
「おぉぉ」と、目をキラキラさせながら近寄って
自分のサイズがあれば速攻レジに持っていく。
そして、馴染みの店だから
たまに更に安くしてくれる。
だから本当に破格でいつもゲットしているのだが
5色目を買ってきた時には
また「ホ」を買ってきた
と呆れたよね。
本当に好きなんだね。
こんなに買ってきても私が黙っているのは
夫は私に生活費も何も一切請求してこないからだ。
これで、洋服と靴買ってお金がないから
君が家賃出してとか言ってきたらただじゃぁおかないけれど
彼はあくまでやりくり出来る範囲内で
洋服バカになっているだけなのだ。
しかも私にも洋服や靴を買ってくれる。
競馬バカとか
飲酒バカとか
甘いものバカとか
車バカとか
時計バカとか
タバコバカとか
色んな出費先はあると思う。
うちの夫は上記の全てを放棄して
洋服&スイカバカ専門なのだ。
こんまりさんが仰るように
ときめくものにだけ集中するのが良いと思う。
だから、今のところ好きにさせている