犠牲祭当日 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

犠牲祭当日はタクシーも走っていないとのことで
前日から実家にお泊まり。
子供達は夜中の12時まで遊びまくって大喜び。



犠牲祭当日
夫は朝早くから息子を連れてモスクへお祈りに行きました。

モスクから聞こえてくる祈りも
生け贄になるものへの祈りらしく
いつも聞こえてくる祈りの調子とは
少し違うものでした。



家族全員揃って朝食後
羊ホテルから羊が屋上テラスに運び込まれて
さっそく脚を縛られて男性3人掛かりで押さえ込み
ピューと真っ赤な血が飛んでいるのが見えてしまいました。


慌てて目を逸らします。
こんなにアッサリ声も無く殺されていくのですね。


美しかった、もはや息のない羊さんの頭部は地面にゴロンと置かれ
肢体は逆さに吊るされ皮を剥がれていきます。


皮が剥がされたとたんに
あ、これはよくモロッコの肉屋の軒先に吊るされているね
と、とたんに「動物」から「肉」という認識に切り替わります。


モロッコでは鶏肉を買うにしても
生きている鶏を目の前で殺して血抜きして
羽をむしって、まだ温かい鶏肉を
ビニール袋に入れて「ハイ」と渡されます。


その鶏の体温を手で感じるたびに
あぁ、命を享受しているんだ
と認識します。


その最大系のお祭りが
一家に1頭羊を屠る犠牲祭なのです。

本来はお金に余裕がある家庭が
乏しい人にも肉を分け与え
みんなで有難く頂く目的で羊を殺していました。


が、今回3家族が各階に住み共存する実家家族は
羊3頭を殺しました。


夫が義姉家族用にも、と2頭羊を購入したら
もう義弟は亡くなっていないんだし
2家族に1頭で良かったのに、と言われていました。


飽食の現代、一家に1頭が当たり前となっているこの文化は
もはや常識となってしまって止められない感が否めません。


皆さん上手に保存して1年掛けて食べ続けるのですが
いやはや、凄い肉食文化だなぁと思いました。


男達は生け贄を家に届け
女達はそれを料理する。


もう私の頭の中はこんな雰囲気でいっぱい。





解る人にだけ解って頂ければ結構です♪


男の役割と女の役割がハッキリと別れているモロッコ。

もう切り身になっている肉に慣れてしまっている私には
動物を前にして屠れる男性は逞しく見えましたし
その生け贄を調理する女性達は
自然の摂理から導かれた本来の女性の役割を果たしていて
この大昔から変わらない男と女のあるべき姿
そしてそれを継続出来ているこの国の文化に
妙に納得してしまったのでした。



さて、男性が調理場に最初に届けるのは
レバー。

腸の周りのアミアブラは取り出した後すぐに干されました。





これが普段洗濯物干しているところにかけられて、ワォ!

少し干すと紙のようにパリッと扱いやすくなりました。





巨大なレバーを一度炭火で炙って切ったものを
このアミアブラで包んで串刺しにして
また炭火焼きで焼いて頂きます。






この脂が炭火で焙られるとカリッとして
くるまれたレバーと頂くと
カリッジュワッという美味しさが味わえます。



青空の下みんなで串刺しにして
炭火焼きにしてありがたく美味しく頂く
最高の時間を過ごすことができました。



お腹いっぱいの中
Facebookでモロッコ人の甥っ子が
こんな写真を投稿していて笑えました。






犠牲祭当日は国民全員がコレを食べていることを
想像するだけで身震いがしましたびっくり