24歳の死。 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

あなたは24歳の時、何をしていましたか?
 
 
私と夫は、あるショップ店員のおばさんと話していて
夫が2016年から今まで沢山の辛いことがあったから
今年はそれを引きずらず新しい環境でスッキリ生活したいんだ
と彼女に言うと
 
私も夫を亡くし、24歳の息子を亡くして
もう立ち直れなそうだったけれど
最近やっとなんとか普通に生活できるようになったわ
と夫に言いました。
 
10年前に亡くなった息子さんは珍しい心臓病で
だんだん心臓が肥大していって破裂して息を引き取ったとのこと。
 
 
 
 
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24歳の終わりころ、私はイタリアにやってきました。
健康な体さえあれば自分の人生をどうにでも方向転換できる年齢です。

イタリアに長居するなんて考えておらず
それでも日本以外のどこかで生活する必要性を強く感じて
6か月間の滞在予定でやってきました。
 
自分の視野を広げたかったのですが
日本の雇われ社会から脱した自分は
あまりにも無力で言葉もろくに話せず
海外では生きていく術すらないことを思い知らされ
途方にくれていました。
 
 
24歳で自分の才能を開花させて
世界に羽ばたける人。
 
24歳で自分に失望する人。
 
24歳で難病で命を落とす人。
 
 
 
私は24歳で才能を開花させている人を
すごく羨ましく思っていたけれど
 
24歳で難病で命を落としてしまったら
もしかして彼はその後素晴らしい才能を
開花できたかもしれないのに
そんなチャンスすら失ってしまったのか
 
彼女の若い息子さんの死を思うと無念で、店員さんの前で泣いてしまいました。
 
 
 
私はイタリアに来てから未だ無力感に苛まれているけれど
それでも結婚して子供を授かって
私を支えてくれる人がいて
私が支えなければいけない人がいるということに
言葉に出来ない感謝の気持ちで一杯で
それだけで私の人生は完結しても何の無念もない。
 
 

 
もし店員さんの息子さんが
普通に機能する心臓を持っていたら
何がやりたかっただろうか?
 
 

店員さんは息子さんの死から立ち直り
今その難病への研究資金のための募金活動を続けているとのこと。



彼女の息子さんの無念の死を思いながら
これからも、いつ死んでも無念ではないくらい
自分に出来ることを精一杯やりながら
与えられた生を全う出来ればいいと思う。