ハスミ視点の話はもう少し続きます。
泣き叫んだあとは記憶が途切れ、
屋敷の奥の一室で目を覚ました。
お腹の子のために
かろうじて生きているような状態だった。
部屋に籠り、寝ていることが増えた。
食事も喉を通らないような状態だったが、
子供のために無理やり飲み込んでいた。
数日が過ぎ、元気な男の子が産まれた。
赤子の泣き声を聞いてやっと笑顔が戻った。
その時だった。
部屋の扉が勢いよく開き、
我が子の顔を見てもいないうちに
村の男が赤子を奪い去っていった。
「どこに連れて行くの!?
返して!返してよ!!」
起き上がり、追いかけようとするのを押さえつける男たち。
そこで自分が生かされた理由を知るのであった。
産まれた子は、
女子であれば生贄として育てる。
男子であれば湖に沈める。
それは、逆賊として生まれた子の儚き運命だった。
サクヤと子供を奪われ、
生きる意味をなくした私は村の湖へと向かった。
我が子を沈めたという湖で自らの命を終わらせるために。
水は冷たく、足は凍えそうだった。
でも怖くはなかった。
この先にサクヤと我が子が待ってる。
一歩、一歩、と水の中を進みながら村の龍へと身を捧げた。