おはようございます。

源氏物語の全訳挑戦27回目の鴨です。

本日もよろしくお願いいたします。

 

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    第1帖 桐壺(27)

    原文

     年月としつきへて、御息所みやすんどころの御ことをおぼし忘るるをりなし。なぐさむやと、さるべき人々をまゐらせたまへど、なずらひにおぼさるるだにいとかたき世かなと、うとましうのみよろづにおぼしなりぬるに、先帝せんだいの宮の御かたちすぐれたまへる聞こえ高くおはします。

     

     ははきさき世になくかしづききこえたまふを、うへにさぶらふ典侍ないしのすけは、先帝せんだいの御時の人にて、かの宮にも親しうまゐり馴れたりければ、いはけなくおはしましし時より見たてまつり、今もほの見たてまつりて、

     

    「うせたまひにし御息所みやすんどころの御かたちに似たまへる人を、三代の宮仕へに伝はりぬるにえ見たてまつりつけぬを、きさいの宮の姫宮こそ、いとようおぼえて生ひ出でさせたまへりけれ。ありがたき御かたち人になん」

     

     と奏しけるに、まことにやと御心とまりて、ねんごろに聞こえさせたまひけり。

    現代語訳

     年月が経つに従っても、帝は更衣との思い出をお忘れになることはありません。慰められることもあろうかと、それらしい人々を参らせなさるけれども、「更衣の面影を思うことさえまったく難しい世かな」と、疎ましいとばかり万事を思いなさっておられました。そのような折に、先帝の第四皇女が、御容貌がすぐれておられるとの評判が高くおいでです。

     

     母である先帝の后が、世にまたとなく大切に守り育てていらっしゃいました。それを帝付きの典侍は、先帝の御時にも仕えていた人で、かの第四皇女にも親しく参りなれていました。御幼少でいらした時から拝見しており、今もほのかにお見かけになると、

     

    「亡くなられた更衣の御容貌に似ている人を、三代にわたる宮仕えを受け継いでいるうちによく見なれてしまっておりましたが、御后様の姫宮こそ、それはそっくりに似て御成長なさり、めったにおられない御容貌の人でございます」

     

     と申し伝えたところ、「まことにや」と帝の御心にとまったので、丁寧に申し上げました。

    来週は藤壺が登場します

    今週も誠にありがとうございました。
    本業がいっぱいいっぱいで、「今週はちょっと厳しいかも⋯⋯」と思うこともありましたが、読んでくださる方々のおかげで続けられました。
    土日祝の3連休はお休みいたしますが、来週もまたよろしくお願いいたします。
    では穏やかな週末をお過ごしください♪
     
     

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