田舎に来ると
いつも立ち寄る、手打ちパスタ屋さん。
私の前には
一人のご老人がいた。
「どうも耳が遠くってね、大きな声でお願いします。」と言うご老人に
店員さんが聞いていた。
「お支払いは、現金ですか?カードですか?」
「現金です、現金です。
私は、古い人間でね、
新しいのはもう、分からんのです。」
それを聞いていた周りの人間も
会話に参加する。
「現金が一番よね。」
ご老人は振り向いて、
みんなが一緒に話をしている。
なんだか、
急に
舞台劇を見ているような気分になった。
「カード払いを推奨しているのも、
結局は、銀行の儲けに加担するようなものよねぇ。」
「手数料があるでしょ?
結局、数パーセントは引かれちゃうの。
その上、維持費だのなんだの。」
「結局、昔ながらのほうが良いわよねぇ。」
ああ、なんだか、分かるなぁ。
世の中は、
便利になったようで
案外、
そうでもないのかもしれない。