アメリカで、1953年(昭和28年)に投函したハガキが、72年後の今年、差出人の手元に戻ったという記事。(CNN)

 

1953年6月17日に観光で訪れたニューヨークの国連本部から投函されたハガキが、今年8月イリノイ州オタワの郵便局に届けられた。

 

「今、国連ビルにいます。すべてが、とても近代的です」などと書かれている。

 

ある日見つかった古いハガキは、たくさんの人の協力を得て、差出人であるアラン・ボールさんの手元に戻った。アランさんは現在88歳、アイダホ州で暮らしている。

 

1953年、アランさんはイリノイ州オタワから列車に乗り、ニューヨークへ向かった。そこから飛行機に乗ってプエルトリコへ渡り、夏のあいだ叔母の家で過ごす予定だった。

 

ニューヨーク到着後、空港へ向かうまで時間があったため、建設されたばかりの国連事務局ビルを訪れた。そこで国連の絵はがきに切手を貼り「ニューヨークまで来たよ」と、両親に知らせるために投函した。しかし、そのハガキは両親には届かず、どこかに紛れ込んでしまったのである。

 

10代の頃に書いたハガキが今になって戻ってきたことに、ボールさんは驚いている。

 

2020年の春、NYから帰国することを決め、その旨を知らせる手紙を日本に住む友に送った。その昔、彼女はNYに3年間留学し、日本へ帰国してからも何度もNYを訪れ、一緒に思い出を作った友である。長年住んだNYを去るということで、少し感傷的な文章と、30年ほど前にブルックリン・ブリッジの下でふたり並んで撮った懐かしい写真を1枚同封した。

 

その年の秋に帰国してすぐに彼女に連絡を取ったが、私が送った手紙を受け取っていないことが分かった。そのうち、その手紙がNYの連絡先として登録してある知人宅に返送された。一度は日本に到着したものの、住所の一部分の書き漏れがありNYへ戻されてしまったのだ。私のミスである。

 

その手紙を知人に転送してもらい、ボロボロになった封筒を新しいものに替えようと封を切った。ついでに自分が書いた文章を読み、ちょっと照れくさくなった。NYを離れる前の感傷的な気持ちがそこに書かれてあった。後に、友人に会った時、手紙は抜き取り写真だけを渡した。

 

帰国前に友に知らせることが出来なかったことは悔やまれたが、自分のちょっと大げさな文章が恥ずかしく、それが彼女の目に触れなかったことに少し安堵した。

 

まだ届いていない手紙があるかも知れない、受け取っていない手紙がある可能性もある。

 

それがいつか手元に届く日があったなら、ただの時候の挨拶だけでも嬉しいと思う。