映画『グラン・ブルー』(1988 Le Grand Bleu/仏、The big blue/米国)
ストーリー:
水面下100m。 海面の光も届かない、限りなく深い海が広がる世界を追い求めて―。
幼い頃に海辺で出会い、潜水の腕を競い合ったジャック(ジャン=マルク・バール)とエンゾ(ジャン・レノ)。大人になったエンゾは、素潜りで深度を競うフリーダイビングの大会にジャックを誘う。勝負に燃える情熱的なエンゾと、イルカと対話し海と心を通わせるように潜る孤高のジャック。ふたりは競い合いながらも互いに影響を与え合う。そしてジャックは彼に想いを寄せるジョアンナ(ロザンナ・アークエット)との関係に戸惑いながら、海への憧れと人間世界との狭間で揺れ始める――。ある日、ジャックは人間の限界に迫る記録を打ち立てる。負けず嫌いのエンゾは、なおもその記録に挑み続けようとして……。
(上記、公式サイトより)
この映画にはふたつのエンディングがある。ひとつはフランス版オリジナル、もうひとつはアメリカ版である。
オリジナル版のエンディングは悲しい結末を連想させる。「ああ、行ってしまった」「そうだよね、それが彼にとっての幸せだよね」と理解しながらも、悲しさが込み上げてくる。「イルカになったんだよ」と言った当時の男友だち。
アメリカ版は、ハッピー・エンド風に終わる。音楽も軽やかである。でも、それは「幻想」だと、私は受け止めている。
どちらも夜の海、ひとつは真っ暗な深海にイルカが迎えに来る、もうひとつは月夜に照らされた海でイルカと楽しく戯れる。表現の仕方が異なるだけで、結末は同じように思える。
「人間の最後をどのように受け止めるか」と似ているような気がする。
昼の海、夜の海、海面、深海、それぞれ異なる海の色、とにかく映像が美しい。
37年前、その透明感の美しさに魅せられたこの映画が再上映されていることを知り、猛暑で疲れきった身体と心を癒やすために、大きなスクリーンで観てこようかと考えている。