夏の軽井沢 五日目(8/13/25)
鳥の鳴き声で目覚めた、ついに晴れた!
午前9時頃に別荘を出て、発地市庭まで約20分の散歩。特設のパン屋、アクセサリー店、シャーベットのベンダー。朝採り野菜売り場は大混雑、レジの列は気が遠くなるほど長い。
りんごジュースを飲みながら浅間山を見上げるが、しっかり雲がかかっている。
蝉の鳴き声を聞きながら別荘地を散策、そして迷子になる。蝶々が私の前をひらりひらりと舞い、まるで道案内をしてくれているようである。蝶々の後をついて行ったら、やっと見慣れた車道に出た。
何日も雨の日が続いた軽井沢。とうとう晴れたこの日、各別荘の庭では家主たちが忙しく働く姿が見られる。友も麦わら帽子を被って庭のお手入れに精を出していた。
「私に出来ることは?」と尋ねると、「ない、あなたには難しすぎる」と言う。
それではと、私は気ままに過ごさせてもらう。日が暮れる前の散歩もまた気持ちが良い。
夕食は友が前夜から準備した”豚肉の塩麹味噌漬け”、柔らかくて美味である。
食後、戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」(主演:本木雅弘)を観る。
小さな白い蛾が部屋を飛び回る。「スリッパで叩いていいかしら」と尋ねると、「殺生しないで」と意外な言葉。「さっき、カメムシにスプレーかけていたじゃないの」と思うも、言葉にせず。
午前中の蝶々のことを思う。姿はほとんど同じなのに、扱いがまったく違う。フランスでは蝶々と蛾を区別していないという。両方を「パピヨン」と呼ぶらしい。ドイツも区別していないとのこと。どっちにしろ、私は蝶々も蛾も苦手だ。
中学生になった頃、近所の家のおじいさんと久々に会った。おじいさんは私の成長に驚き「えっ、蝶々を追いかけていたあの子か?」と目をまん丸くしていた。中学生になった私は蝶々も蛾も怖くて、目の前に現れると逃げていた。「そうか、私は幼い頃、おぼつかない足取りで蝶々を追いかけていたのか」と、その頃の自分を思い浮かべると今とは別人のように可愛らしい。蝶々を追いかけるその幼児を眺めて、おじいさんは目を細めていたに違いないと想像すると、町内であまり評判の良くなかったこのおじいさんにもいくらかの愛情がわいてくるのである。
どうして、蝶々が苦手になってしまったのだろうか、不思議である。