先週の土曜日、早起きして上野不忍池へ蓮の花を見に行ってきた。
午前6時半に部屋を出て地下鉄に乗り、7時前に到着。
池にはすでに開いたピンク色の蓮の花が大きな緑色の葉の間から見える。今年は見に行くのが少し遅かった。8月中旬頃まで楽しむことが出来ると思うけれども、私は少し早めの時期に見るのが好きである。桜も満開よりも満開になる少し前に見に行く。蓮の花は朝6時をまわった頃が、私にとっては丁度見頃、あと一息で満開になる頃がいちばん美しいと感じる。
撮影スポットとされている「蓮見デッキ」は3,000 個の風鈴で埋め尽くされていた。すだれ天井が日陰をつくり、そこに揺れるたくさんの風鈴の音が涼しげで「ほっ」と安らぐ。
今年は蝉の声があまり聞こえないとニュースで報道していたが、上野恩賜公園では盛んに鳴いていた。親子3代で蝉を捕獲している家族。小学3年生くらいの女の子が網で捕まえて「これ、メスだよ!」と喜んでおじいさんに見せている。蝉を素手で触ることが出来る人を私は尊敬する。私もそのように育ててほしかったと思う。
昔、蝉に追いかけられたことがある。ゆるい坂道を上り、住宅街の中に建つアパートへ帰る途中、あともう少しで到着するという時に、隣のお屋敷の大きな庭にあった木から蝉が私をめがけて飛んできた。慌てて身を翻し後戻りしたが、蝉は私の動く方向へついてくる。ドアまでもうすぐなのに、まるでそれを阻止するかのように私を狙っている。仕方ないので、走って駅前の商店街まで戻り少し時間をつぶしてから帰宅した。蝉が人を狙って攻撃してくることを初めて知った。それ以来、蝉が怖い。
上野の公園にはカラスも多く、それが本当に大きい。木の上にいるならまだしも、低い位置にとまっていると恐ろしい。横目で様子を伺いながら、見ないふりをして避けて通る。わざわざ遠回りになっても仕方ない。
午前8時を過ぎると、もう真昼のような暑さである。
私が学生の頃は築50〜60年かと思うほどの古いアパートに住み、エアコンはなかった。夏の間ずっと窓を開けてしのいだ。友達のアパートにもエアコンはなく、それが当たり前だった。多少寝苦しかったけれども健康を害することもなく過ごせた。また、夏が今のようにそれほど長くなかったような気がする。
年々、暑さが厳しなり、長くなった夏。来年は7月初めの頃に蓮の花を見に行こうと思う。