映画「フォーチュンクッキー」(原題:Fremont)
あらすじ
カリフォルニア州フリーモントにあるフォーチュンクッキー工場で働くドニヤは、アパートと工場を往復する単調な生活を送っている。母国アフガニスタンの米軍基地で通訳として働いていた彼女は、基地での経験から、慢性的な不眠症に悩まされている。ある日、クッキーのメッセージを書く仕事を任されたドニヤは、新たな出会いを求めて、その中の一つに自分の電話番号を書いたものをこっそり紛れ込ませる。すると間もなく1人の男性から、会いたいとメッセージが届き…。
孤独な女性が新たな一歩を踏み出す姿をユーモアを交えて描いた作品。
(上記、映画公式サイトより)
原題となっているFremont(フリーモント)はサンフランシスコ湾南東岸に位置し、アフガニスタンからの移民が多く住む都市。
ある日、フォーチュンクッキーのメッセージを書いていた女性が亡くなり、ドニアがその
仕事を任されることになった。
メッセージを書くにあたり、中国人オーナーからのアドバイスがある。
「メッセージを書くことは責任を伴います。意識的にせよ、無意識的にせよ、物事の流れを左右します。幸運すぎても、不運すぎてもいけません。独創的過ぎても、分かりやす過ぎてもいけません。短すぎても、長すぎてもいけません」
最後にオーナーは言う「美徳は中庸なり」。
メッセージを書いていくうちに、ドニアの内面が少しずつ変化していく。最後にはフォーチュンクッキーに関わるちょっとした画策と誤解から人生が良い方向へ動いたように見えた。
NYに住み始めた1990年代初頭、街には小さなチャイニーズ・レストランがたくさんあった。
値段もお手頃で、ディナーでもチップを入れて15ドルくらいで食事が出来た。前菜にスープか春巻きを選び、魚介、肉、野菜からメインをひとつ選ぶ。おまけに小さなデザート付きである。最後にお会計と共にやってくるのがフォーチュンクッキーだった。
硬いクッキーを2つに割ると中から小さな細長い紙が出てくる。友人たちとそれぞれが手に取ったメッセージを読みあった。絶対に不吉なことは書いておらず、どのような解釈でも出来るようなこと。それが、食事の後のちょっとした会話につながることもあったし、たまに、その紙をそっとお財布に忍ばせることもあった。
実際にはそのメッセージに影響を受けることはほぼない。店を出たら忘れてしまうほどのものである。でも、時には誰かの心をほんの少し温かくしたり、「ふっ」と笑えることだったり、少しの希望が持てるメッセージを受け取る時もある。
主人公・ドニヤが書いたメッセージのひとつ。
「あなたは幸せを追い求めるのではなく創る人」
(Some pursue happiness, you create it)
「そうだよね」と再確認させてくれる言葉である。