先週金曜日の夜、珍しくエアコンをつけなくても快適に眠ることが出来た。翌朝、窓を開けるとひんやりと涼しい空気を肌に感じた。今日を逃したら、当分は遠出の散歩は出来ないかもしれない。たまには浅草の橋を越えてみようと出掛けた。
人通りの少ない裏道を歩いて行くと三叉路に出た。その角に、ひとりの若い警官と若い女性が立っていた。女性が軽やかな口調で警官に話しをしていたので「お友達なんだろうなあ」と思った。
警官が「じゃあ、そろそろ行きましょうか」「あっ、その前にお名前を教えて頂けますか」と尋ねた。友だちではない、職質? 若い女性は手足をふらふら動かしながらご機嫌な様子で答えた「サワジリ・エリカ!」、警官は苦笑い。
私はふたりの横を通り過ぎて右手方向に曲がった。後ろから「サワジリ・エリカ!」という女性の声が4〜5回聞こえてきた。思わず笑ってしまった。同姓同名は何人もいると思う。でも、何故か彼女の名前は違うような気がするのである。
浅草寺・雷門の大提灯を背にまっすぐ歩いて行くと右手に美味しいお蕎麦屋さんがあると、午前中に電話で話した友人が教えてくれた。その言葉通りに歩いていくと確かにお蕎麦屋さんがあった。表向きは普通の店構えであるが、大正2年創業の老舗とのこと。
お蕎麦屋さんを通り過ぎて駒形橋を渡り本所吾妻橋駅方面へ歩いて行くと塩パン屋さんがある。前回、まだ暑くなる前に来た時には長蛇の列だったので諦めたが、今日はなぜか2〜3人しか待っていない。当分来ることはないと思い列に並んだ。私はここのサツマイモ塩パンが好きである、それとメロン塩パンを初めて買ってみる。これが大正解!
少し歩いて今度は吾妻橋を渡って浅草の松屋方面へ。天ぷら屋さんで冷やしたぬきうどん用の揚げ玉を買いたいのだが、夏の間はいつ行っても品切れ。今日も諦めていたのだが1袋だけ残っていた。「いつもは午前中に売り切れるんですよ。今日はどうしたことか1袋だけ残っていて、どうしたんだろうと思っていたんです。きっと、お客さん(私)を持っていたんですね」と嬉しいことを言って下さる。
松屋の近く、新仲見世の入口の角に宝くじ屋さんがある。今朝の会話で友人が宝くじの話しをしていたのを思い出した。友人曰く「当たるのは1枚だけ、1枚買えばいいの」。今日は一粒万倍日と大安が重なった日とのことで、5~6人の列が出来ていたが「縁起の良い偶然」だと思い1枚買う。
友人の電話から始まり、時々、友人の言葉を思い浮かべながら散歩した土曜日。
このように平穏な日は常にあるようで、実はそうでもない。貴重な一日だった。