数週間前に起きた事件。

中学生が見知らぬ人から蓋が閉まった瓶入のジュースをもらって飲み、その後、体調不良になった。現在もまだ調査中とのこと。怖い話である。

 

今年の春、空港に友人を見送りに行った。空港内で食事をした後に、友人は出国ゲートの列に並ぶ時間になった。その場所へ私が入ることが出来ないが、友がそこを通り抜けるまで見送ろうと思い、私たちはハグをして別れを惜しんだ。

 

私と友が別れた瞬間、見知らぬ若い外国人女性が私に向かって「すみません、このボトルをもらって頂けませんか。そこのゲートを通る前に捨てなくてはならないのですが、少し前に買ったばかりで勿体ないので」と、流暢な日本語で言った。

 

受け取とったボトル入りジュースはまだ冷たい。突然のことに驚いたが、とりあえずお礼を言うと、彼女もお礼を言い、急いで出国者の列に並んだ。

 

貰ったはいいが、当然、これを飲もうかどうか迷う。見知らぬ人であるが、怪しい人には見えない。場所が日本以外だったら絶対に飲まなかったと思う。その日は暑く、喉が乾いていた。キャップを開けると、それがまだ人の手で開けられていなかったことが確認できた。

美味しく頂いた。

 

数年前迄のNYでは、街なかでよく試供品が配られた。ヨーグルトの新製品だったり、炭酸飲料の新製品だったり、時にはアイスクリームだったりする。なんの疑いもなく喜んでもらっていた。

 

やはりNYでのこと。真夏の日が暮れる頃、バス停に立っているとひとりの日本人女性が近づいてきた。彼女は大きな黒いゴミ袋を持っていた。身なりのきちんとした50歳前後の方である。お寿司のファストフード店でパートをしており、少し消費期限が過ぎて処分をしなければならない寿司のパックをもったいないから持ち帰ったのだという。「もし良かったら貰ってくれませんか」と言って下さったが「食事をしてきたばかりですから」と、お断りした。女性は困った様子で「近所のバーへ持って行こうかな」と独りごちた。

 

その女性のお気持ちはよくわかる。夕方になるとお惣菜屋さんのお店の前に出される大きな黒いゴミ袋を見る度に、捨てるくらいなら他に方法はないものかと思う。でも、生物だし、炎天下だし、ごめんなさい、と心の中で詫びた。

 

このご時世、どんなに状態の良い食べ物、飲み物、お菓子でも、知らない人から貰った物は安易に食べられないと、今回のニュースを見て思った。

 

中学生が被害にあった事件が模倣されて広まらないように願うばかりである。