軽井沢滞在中、友人が子供の頃によく食べたという長野のご当地パン「牛乳パン」をスーパーで買って食べた。レトロ感あふれる子供の絵が描かれた白いビニール袋に入ったそれは、見るからに懐かしさを感じる。バタークリームをふわふわのパン生地に挟んだもので、一口頬張ると子供の頃の味を思い出した。

 

長野県民に限らず、誰が食べても昔を思い出す味だと思う。

 

私の故郷である青森のご当地パンは「イギリストースト」である。薄めにスライスした柔らかい食パンにマーガリンとグラニュー糖が塗られたものをサンド。一口食べた瞬間、グラニュー糖が「じゃり」と舌に感じる。私たちの親の代から愛された「味」である。

 

他に美味しいパンはたくさんあるが、何故かたまに食べたくなる故郷の味。全国47都道府県のご当地パンは、東京のアンテナショップに行けば手に入る。故郷が恋しくなった時、地下鉄に乗れば懐かしい味が手に入るのは、本当に便利な時代だと思う。

 

軽井沢の帰りのサービスエリアで「峠の釜飯」が販売されていた。友人は子供の頃に食べ終わった「釜」でままごと遊びをしたという。我が家にもいくつかあったが、それを母が何かに使用していたのか、妹と私が遊んでいたのかは記憶にない。懐かしくなり、ずっしりと重いこの釜飯をひとつ買って帰った。

 

子供の頃は誰かが買って来てくれた駅弁の釜飯を、冷たいまま食べた記憶がある。それでも、物珍しさもあって美味しく、喜んで食べた。

 

今はレンジで温めて食べることが出来る。やはり、電車の中で食べた方が美味しく感じるような気がするけども、懐かしさを噛み締め、特別な味わいを楽しんだ。

 

「捨てる理由がない」と友は食べ終わった釜をとってあるとのこと。

 

必要でないものはさっさと処分する私だが、両手に取ってまじまじと見ると、このまま捨ててしまうには忍びない、一度お粥でも作って食べたいと思う。