5月6日(火曜日)暦の上では連休最後の日。
夜が明ける前から雨が降り出し、今朝は鳥のさえずりが聞こえて来ない。
1階へ下りて庭を見ると、透明な大粒の雨が緑樹の鮮明な色を反映させて綺麗に降り注いでいる。目の前の木にリスが物凄いスピードで駆け登り、揺れ動いた無数の葉から雫が落ちる。バルコニーの木製の柵を叩きつける雨は勢いよく跳ね返る。
遅い朝食を摂りながらゆったりと午前中を過ごし、お昼近くなってからもまだ降り続いている雨のなか、友人がお気に入りのケーキ屋さんLa pâtisserie TAKAHIRO MARUYAMAへ。
柔らかいピンク色の「桜のモンブラン」がひときわ目立つ。朝オープン後に混雑して、お昼にやっと落ち着いたという店内はすっきりと清潔感にあふれていた。
午後は買ってきたケーキを食べながらお喋りをしたり、昼寝をしたり、静かな時を過ごす。
この日の夜はフレンチ・レストランを予約していた。どのレストランも、昨日迄は満席で予約が取れず、この日しか空いていなかった。
夕方になると、ずっと降り続いていた雨は霧雨に変わっていた。少し暗くなりかけた1本道の両脇に立つ緑樹の美しいこと!幻想的な景色に「これがかの有名な”霧の軽井沢”か」と感動する。車を運転している友人は「なんか生き物が出てきたら避けないといけないから」と、いつも以上に慎重である。
車で15分くらいの場所にあるレストラン「ビストロ じゅん」は、赤い屋根の別荘風建物で、入口にはシルバーの電飾が輝いている。店内は茶系と白でまとめられた落ち着いた雰囲気で、4人用のテーブルが4つと個室がある。壁にはヨーロッパ調の絵とポスター。欧州の小さな町にある「隠れ屋」的なレストランにいるような気分になる。
私が選んだのは、カシスドリンク、タコのカルパッチョ、きのこのクリームスープ、真鯛のポワレ、りんごのタルト。料理を頂きながら私達はいろいろな楽しい話だけをした。旅行の話、お互いの「いとこ会」の話など。
異国を感じる店内、美味しい料理と素晴らしいサービスに「またいつか来たい」と思う。
食事を終えて外へ出ると、霧雨はあがっていた。帰り道、前方を照らすヘッドライトの中に小動物が走って通り過ぎるのが見えた。「人が少なくなったから出てきたんだね」と友人。
昨日まで灯りがついていた近隣の家の窓にはシャッターが下りて、人の気配はなかった。
静まり返った別荘地に「祭りのあと」の寂しさを少し感じた。