今朝も鳥の鳴き声で目を覚ます。

 

早朝散歩は前日と異なるコース。

朝と夜は寒くて暖房を入れるのだけれども、すれ違った犬連れの外国人男性は短パン姿。

今日は頭の中にしっかり地図を入れて歩き、無事に戻る。

 

午後は徒歩で軽井沢アイスパーク、ムーゼの森「絵本のお店」、クリスマスオーナメントのお店、塩沢公園を通って散歩。

 

帰り道、旧軽井沢から移築された有島武郎の別荘・浄月庵のカフェ「一房の葡萄」に立ち寄る。建物の中へ入り奥へ進むとぷ〜んと珈琲の香りが漂う。大正時代に造られた古い木造建てのバルコニーの席でしばし休憩をする。

 

有島武郎の小説は1冊も読んだことがない。検索すると、大正12年(1923年)6月、軽井沢の別荘で人妻だった不倫相手の女性と心中したという記事が出てきた。その事件により有島氏は世間から強く非難されたとのこと。彼の妻は既に他界していたが、3人の子供がのこされた。ひっそりと建つ古い家屋の2階は観覧出来るようになっている。45歳という若さで、人生最後の時をこの家の中で迎えたこと、約1ヶ月後の7月7日に発見された時の遺体の状況は悲惨だったこと、それらを想像するとなかなか複雑な思いである。

 

緑樹で覆われたバルコニーの席には私の他に年配の日本人女性と夫と思われる外国人男性がいた。ふたりは会話もせずにそれぞれ雑誌を読んでいる。横の大通りを車が通るが、ここもまた静かな空間である。しばらくすると、女性が「そろそろ行きましょうか」と夫に声をかけ、夫は「OK」と答える。ふたりは席を立ち、女性は私と視線が会い、私達はお互いに笑顔で会釈をする。生成りの麻のワンピースにカーディガンを羽織った素敵なご婦人だった。

 

「絵本のお店」で童話の主人公・赤ずきんと3匹の子豚の絵柄のついた布巾のようなものを2枚購入。散歩の時にお世話になった”奥様”に差し上げたいと思うのだが、もう一度会えるだろうか。

 

来た道を戻り、友人の別荘に辿りつく。建物の前まで来てやっと安堵である。

 

人が生活を始めると「家」が呼吸を始め、そこに生気が宿るような気がする。

2日前に到着した時と、いまの「家」の様子は明らかに違って見えた。