5月4日(日曜日)
早朝5時過ぎ、カーテンの隙間から薄っすらと陽が差し込む。窓を全開にすると冷たい空気が入ってきた。そのままふかふかの羽毛布団の中へ戻り、鳥のさえずりを聞きながら目を閉じてまどろむ。
「ホーホケキョ」「チュンチュン」「トントントン(キツツキ)」
鳥の鳴き声を文字で表現した人は凄い。本当に「ホーホケキョ」と聞こえる。キツツキが木を突く音も小学校の時に習った通りである。
自分の記憶では、こんな朝を迎えたのは人生で初めてのことだと思う。
友人が朝食を作る間、私は1時間ほど別荘地を散策。私達は最初に役割分担を決めた。料理好きの友人は作る専門、私は後片付け専門である。
別荘地には背の高い緑の木がたくさん植えられている。緑の中に建つそれぞれ個性的な建物を見て歩くのは楽しい。何世代にもわたって受け継がれた建物には本やテレビで観たことのあるどこか懐かしさを感じ、新しい建物はモダンで住む人のセンスを感じる。建築中の建物もいくつか目についた。
何人もの犬の散歩をする人たちとすれ違い、その度に気持ちの良い挨拶を受けた。
どんどん奥へ歩いているうちに迷子になった。何度も同じ道を行ったり来たりして帰り道を探す。とうとう諦めてお庭仕事をしていた年配のご夫婦に助けを求めた。とても親切なご夫婦で、奥様は各別荘の番号が記載されている地図を家の中からもってきて、近くまで連れて行ってくれるという。恐縮してお断りしたけれども、結局お言葉に甘えることにした。
「同じところを何回も散歩している人がいるなあ、と思っていたんですよ」と仰る。
結局、助けて下さったご夫婦のお家と友人のところは徒歩3分くらいで、私は何度も頭を下げてお礼を伝え、奥様は笑いながら手を振って今来た道を戻られた。
奥様の話によると、ここ数年で別荘の数が増え、そこへ遊びにくる人がよく迷子になるのだという。穴があったら入りたいほど恥ずかしい思いである。
この日は掃除に励む日。朝早くから友人の従兄弟さんが庭掃除のお手伝いに来て下さった。車で1時間ほどの場所に住んでいるとのこと。
夕方、友人と従兄弟さんは庭の朽ちた枝を処分しに車で出かけた。その間、バルコニーで読書。ざわざわ木の葉が揺れる音、風鈴の音を聞きながら「至福の時」を過ごしたのである。