3月11日、歌手・俳優のいしだあゆみさんが亡くなられた。
私が子供だった頃にヒットした「ブルーライト・ヨコハマ」は多くの人に愛され、幼児だった妹から祖母までが口ずさみ、しばらくのあいだ、家の中にあの軽快なメロディーが流れていた。
映画やテレビでも活躍され、映画「マンハッタン・キス」(1992年)はNYのマンハッタンが舞台、いしださんは流暢な英語でニューヨーカーを演じた。
晩年は「ミニマリスト」としての生活が話題となった。
いしだあゆみさんの訃報に何人もの方がお悔やみの言葉を述べているが、秋吉久美子さんと小川知子さんの言葉が印象的だった。
俳優・秋吉久美子さん
「年齢じゃない。何を成すかが大事だと思う。亡くなられたのは大変ご愁傷様ですが、彼女は彼女の気持ちに従って、十分に生きられたのではないかと信じたいです」
歌手・俳優 小川知子さん
「本人は、『人生、もう何も未練はない』って言っていました。だから、拍手で送りたい。あゆみ、おつかれさま。あの世でまたねー。love tomoko」
「もう未練はない」という言葉に潔さを感じ、最後までご自身の生き方を貫き通した姿には強く胸を打たれるものがある。
身近な人が亡くなるのは悲しくて辛い。でも、その人が生きた人生を「尊びたい」と、大切な人、縁あって出会った人がこの世を去った時にいつも思う。
私は数年前から何人かの友人に話していることがある。「私が突然いなくなっても、可哀想だとか、まだ早いだとか言わないでほしい。有り難いことに、私は自分のやりたいことをやってきた。必ずしも、すべて上手くいったわけではないし、今も現在進行系で目指していることがある。そして、その状態に私は満足している。だから、可愛そうだと思わないで」
友人たちは「はい、はい。あなたがいちばん長生きしますよ」「大丈夫よ、まだまだ先の話よ」と取り合わない。
「いや、そういうことじゃなくて」と歯がゆい思いである。