突然、ラインで新生児の写真が送られて来た。横顔のアップ、これでは女の子か男の子かもわからない。
送り主の友人に「いったい誰よ、これは」と送信すると、長男に初めての子供が生まれたという。病院で写された正真正銘の新生児。
このアメリカ人の友は30数年前に日本へ移住し、その数年後に日本人女性と結婚した。自分に息子が生まれた時はまだ経済的に安定していなかったが、現在は余裕もできて生まれてきた初孫の女の子の為にしてあげられることがたくさんあるだろう、と喜んでいる。
子供たちが幼い頃に離婚した彼は、離婚後も子どもたちが住む家の近所に住み、ずっと良い関係を続けてきた。孫が生まれ、それも女の子、可愛くてしょうがない。
「もう、新しいガールフレンドを探す必要はないわね」と冷やかすと、
「君はいったい何を言っているんだ。ボクは今週末にイタリア人のガールフレンドとデートの予定があるよ」とのこと。
相変わらずだなあと思いながらも、そういう彼が頼もしく思えた。
アメリカでは60代での結婚、再婚は当然のごとく、70代、80代でも珍しくない。いつまでも自分の個人の幸せを追求し、楽しんでいる。
2年前に親友を失った彼が昨年の春に送ってきたメッセージ「桜の花を見て“綺麗”と思う小さな幸福を感じられなくなってしまった」。
新しい生命が生まれ、新しい出会いを求めるようになった友を嬉しく思う。
「時薬(ときぐすり)」とは、よく言ったものである。