ドラマ「ジ・オファー/ゴッド・ファーザーに賭けた男」(英:The offer 2022年) 

 

1972年に公開された映画『ゴッド・ファーザー』の、50年後に語られる製作裏話。

 

イタリアン・マフィアを描いたマリオ・プーゾの小説がベストセラーになり、パラマウント映画が映像化に乗り出した。ほかに引き受ける人が見つからず、プロデューサーを任されたアルバート・S・ラディ(以下、アル)。

 

このドラマはプロデューサーのアルが主人公である。

 

当時、それほど活躍していなかったフランシス・コッポラ監督は既に落ち目と言われていたマーロン・ブランド、無名のアル・パチーノを起用する。経営不振のパラマウント社、製作スタッフ、キャスト、予算など、すべての問題がアルに降りかかる。

 

製作過程で本物のマフィアから妨害が入る。コロンボ・ファミリーのボスであるジョゼフ・コロンボは、製作中止に追い込もうと子分を使って撮影の妨害を繰り返した。

 

アルとの話し合いの末「マフィア」という言葉を使わないという条件で撮影を認めた。映画の中では「ファミリー」という言葉が使用されている。以来、一家のメンバーが撮影現場に頻繁に現れるようになり、撮影にも協力するようになった。アルはコロンボと友好関係を築いてゆくのである。

 

また、パラマウント社は、まだ無名だったアル・パチーノの起用に反対し、既に話が進んでいるにも関わらず「アル・パチーノを降ろせ!」との剣幕。しかし、ある場面のロケに立ち会い、その時のパチーノの演技に感動して起用を承諾した。

 

予算不足は深刻で、屋敷の背景に発泡スチロールを使うという案まで出る。仕方なく断念したシチリア島での撮影は、驚くべき偶然な出来事から奇跡的に行われることになった。

 

完成後、秘密裏にマフィア専用の試写会を開いたエピソードには驚いた。

どれだけ脚色されているかわからないが、面白い”事実”がたくさん出てくる。

 

映画は大ヒットしてアカデミー賞作品賞を受賞する。

 

アルは「どんな手段を使ってでも完成させろ」と言われ、本当にどんなことでもして完成させた。後に彼は「ゴッドファザーの製作は毎日が人生最悪の日だった」と語っている。

 

当時のアルを「情熱にあふれていた」と、アルを演じた俳優は述べたが、92歳になったアル本人が語った言葉が印象的である。(2024年 94歳で死去)

 

「”情熱”ということで言えば、ただ実現させるのではなく強い意志を持って臨むべきだ。これが最後の仕事だ、という気持ちが必要だ」

 

このドラマを鑑賞後、あらためてもう一度「ゴッドファーザー」を観たら、また違う楽しみ方が出来ると思う。

 

誰にでも、時が経ってから語れることや笑えることがあるのではないだろうか。