長い間ずっと気分が落ち込んでいた友人がやっと明るい声を出すようになった。若い頃にやっていたある習い事の講師を再開したとのこと。週に2日、1日4時間だけの仕事。

 

「楽しい!」という言葉を彼女の口から数年ぶりに聞き、私は心から嬉しい。

 

雨が降っても雪が降っても行くのが面倒だと思ったことはないと断言する。小学生〜高校生までの生徒、可愛くてしょうがない、励みになるという。

 

先々週の豪雪の日、バスや車は通常の何倍も時間がかかる。彼女はいつもの何時間も前に自宅を出て教室へ向かった。「これから行って来るね」という言葉の中に躊躇や迷いの思いが少しもなく、その声から活力を感じた。

 

だからといって、彼女の抱えている問題が消えてなくなったわけではない。それでも、その問題への向き合い方が変わったように思える。

 

「健康がいちばん!有り難いことよ!」と彼女から聞くことが出来て私の心も軽やかになり、私自身の悩みに対する考え方が少しポジティブにったような気がする。

 

 

朝ドラ「カーネーション」糸子の言葉。

 

家庭を持つ男性を好きになった糸子に、無責任な噂話や心に痛い言葉が突き刺さる。

 

「あたるはずの罰が当たっただけの話やんか」

 

そう思えば人を恨むこともない、誰かを憎めるはずがない。自分が招いたことだと気づけば、覚悟も、諦めも、そこからの転換も自分次第だと思う。

 

 

今年1月第1週目に発生したロス・アンジェルスの山火事。テレビに映る甚大な被害に、ただただ驚き、唖然とした。

 

自宅の焼け跡近くでテレビのインタビューに答える男性。

 

“Even though I’m 91 years old, I’ll start over again”

 

「私は91歳だけれども、それでも、もう一度やりなおします」と、身体から声を絞り出すように語った。

 

おそらく娘さんであろうと思われる女性に支えられた彼のその言葉は、「ずん」と心に重く響いた。かける言葉が見つからない。自分の姿勢を正される思いだった。

 

 

いろいろなカタチで大切なことに気づかされる。心に引っかかることは、今の私に必要なことなのだと思う。