原題:Laissez-Moi(日本語訳:わたしをほっといて)
スイスアルプスをのぞむ小さな町で、障がいのある息子をひとり育てる仕立て屋のクローディーヌ。毎週火曜日、彼女は山間のリゾートホテルで一人旅の男性客を選んでは、その場限りのアヴァンチュールを楽しむ、もう一つの顔を持っている。そんな中現れたある男性との出逢いが、彼女の日常を大きく揺さぶることになる。もう恋を追いかけることなど想像もしなかったクローディーヌは、再び女として目覚めようとしていた……。
熟年を迎えた女性の孤独から、息子に無償の愛を捧げる母としての優しさ、情熱的な恋に落ちる女性の可憐さまでを見事に表現する。
スイスの壮大な山々と湖畔に囲まれた、世界最大級のグランド・ディクサンス・ダムの麓に実在するホテルを舞台に、息子への献身的な愛と現実逃避の夢の間で揺れる女の姿を描く。
(上記、公式サイトより抜粋)
主人公のクローディーヌが山間のホテルへ出かける時、いつも息子を預かってくれる年配女性。自分の幸せを選択しようとするクローディーヌに「あなたは間違っている」と非難したように言う。「もし、自分だったらそうしない」ことは、クローディーヌにとって間違いとは限らない。自分にとっての間違いは他人にとって間違いだとは言い切れない、と思う。
そのバスに乗ったら幸せになれるかも知れない、土壇場で迷い苦しむクローディーヌ。
大きな決断の時に人は迷う。その時に選んだ道に間違いだと気づけば、また違う道を見つけることが出来るのではないだろうか。もちろん、簡単ではないけれど。
最後のシーンは、スーツケースを持ち、ひとりで歩くクローディーヌの後ろ姿で終わる。
スイスの小さな町の風景が息を呑むほどに美しい。リアリスティックな感情が自分事のように胸に沁み込んでくる映画だった。