フランス在住22年の作家・音楽家の辻仁成氏。
移住し始めた頃はフランス人が苦手だったとのこと。日本に戻りたいと思いながらも頑張っているうちに、彼らの生き方、死生観、人生観がユニークで面白いことに気づいたという。
ポジティブにもネガティブにも使われる「C'est la vie.セ・ラ・ヴィ」(これが人生さ)という言葉。
以下、辻氏のブログより抜粋。
「この魔法の言葉に救われることも多い。最近、身近な人が死んだ。すると、日本の友人・知人から長文の想い出の言葉が送られてくる。でも、フランス人は“セ・ラ・ヴィ”と呟くだけだ。それが人生だよ、というのは、突き放しているようで、やさしさがある言葉だと最近、気が付いた。苦難を乗り越えていく時に、自分や周囲の人を励ます、心強い言葉なのである」
フランス語講座のサイトでの説明では、「人生ってすばらしい!」「これぞ人生の醍醐味!」というニュアンスで使われる。例えば、すばらしい景色を見た時、美味しいものを食べた時など、生きていてよかったというニュアンスが強く、喜びにあふれた表情で“セ・ラ・ヴィ”を口にする。
また、思いがけない不幸や、事故にあってしまったとき、失敗してしまったときなど、嬉しくないことがあったときの状況説明の最後に“セ・ラ・ヴィ”言うことがある。嫌なことに遭遇した人に対する励ましとして使われることもある。
日本語では「人生、そういうこともありますよね」「しょうがない」というニュアンスに近いらしい。
私は何か問題が起きた時に「どうして、こんなことが起きたのだろう」と突き詰めて考える癖がある。自分が納得する理由を見つけるまでやる。ものすごく時間がかかるし、それが終わらなければ前に進めないこともある。
「セ・ラ・ヴィ!」「これが人生さ!」と考えたら、もう少し早く切り替えが出来るのかも知れない。