映画 "Shall We Dance"を観て思い出した。

 

昔、目黒に住んでいた頃。山手線の五反田駅〜目黒駅を通ると電車の窓から“助川ダンススクール”の看板が見えた。大きい文字だったからとても印象にのこっている。当時、五反田駅近くにスタジオがあったが、現在は戸越銀座駅近辺へ移転されたとのこと。

 

その頃、友人の両親は50才代。大恋愛の末に結婚したとのことだが、喧嘩が絶えなかった。時には物を壊すほどの激しい喧嘩で、子どもたちは呆れ、もう慣れていた様子だった。

 

ところが、少しお酒が入り気分が良くなってくると、お父さんとお母さんが立ち上がり、社交ダンスを始める。お母さんは満面の笑顔で、お父さんはちょっとすまし顔で踊るのだが、これが上手い!

 

「お父さんと私、若い頃に社交ダンスを習っていたのよ。ダンス・パーティーへもよく行って踊ったの」おそらく、昭和30年代のこと。

 

「お母さんはね、若い頃は本当に可愛かったんだよ。舞子(娘)とそっくりだった!」と娘、息子、私を目の前に平気でのろける。

 

「はい、はい、はい」と娘はあしらい、息子はテレビを見たまままったく反応しない。

 

ちょっと喧嘩になりそうな雰囲気の時でも、娘が音楽をかけ「踊れば」とけしかけると、お母さんは笑みを浮かべてお父さんの様子を伺う。そして、ダンスが始まる。

 

お互いの愛情が深いということ以上に、ダンスそのものが大好きなように見えるのは気のせいか。

 

お母さんに助川ダンススクールに行こうと誘われたが、当時はなんだか行く気になれなかった。いま思えば、習っておけば良かったなあと悔いるのである。

 

特に異国にすむ場合には、何かひとつ得意なことがあればそれが武器になるこもある。