梅こぼれて 桜散る
牡丹くずれて 菊舞う
椿落ちて 朝顔しぼむ
紫陽花しおれて 李はだれる
雪柳吹雪いて 花のおわり
人これ如何 なんと云う
人生という花のおわりを
なんと美しい日本語だろう、と思う。
数年前から春の始まりは目黒川沿いの桜からと決めている。
たまたま中目黒を訪れ、偶然に通りかかったのがきっかけである。
ちょうど最高の見頃だったのだろう、こんな美しい日本の桜は見たことがないと思うほど感動した。
「来年も絶対に来よう」と心に想うのだけれども、いざ来てみると前年とは少し違う。
近所に住んでいれば毎日見ることが出来るが、電車に乗り45分。
「ちょうど良い見頃」に偶然あたるのは本当に幸運なこと。
それは秋の紅葉も同じで、7〜8年前に見たセントラルパークの紅葉はそこにしばらく佇み、その場から離れがたいほどに美しかった。翌年の秋、前年と同じものを期待して毎日足を運ぶが、自分の頭の中の記憶とは違う。その時の気候による、吹く風が違えば葉の色や葉の落ち具合も変わる、雨もまた。
「これはお見事!」と息をのむほど感動する瞬間に出会えるのはまさに奇跡である。
今年はどうしたわけか桜の見頃の時期を逃してしまったが、これもまた違う美しさがある。