「嫁の悪いところを直したい時は、自分の娘を怒って直させる」という諺があるとのこと。
結婚してまだ日が浅い頃、ある日、夫の母と夫の妹と私の3人で車に乗りどこかへ向かっていた。
その時、義母が突然自分の娘に話しかけた。
「まあちゃん(義理妹)、旦那さまの前でお舅さんとお姑さんの悪口を言っては駄目よ。親の悪口を
聞いて愉快な人なんていないのだから」
義理妹は「えっ、ああ、うん」と戸惑っている。彼女は結婚して既に4〜5年が経っており、つい何週間か前も実家を訪れて姑さんの愚痴を散々言って帰ったのである。「どうして今頃」と思っただろう。
義母のこの言葉は、明らかに息子の嫁である私へ向けた先制攻撃である。
息子に対する母の強い愛、であろうか。
しかし、義母のこの言葉は“真実”である、と思っている。
私も自分の親の愚痴を言うことはあるが、人に親のことを少しでも悪く言われると腹が立つ。
不愉快である。
大島渚監督が「戦場のメリー・クリスマス」を撮影していた時、俳優として出演していたビートたけしのことは怒らなかったという。監督は怒鳴ることで有名だったらしく、事前に「怒られたら帰る」と
いう条件で出演したとのこと。ビートたけしを怒れない監督は彼の相手役に「お前がだめだからたけしさんがセリフを間違えるんだ!」と怒鳴る。それを見ていて申し訳ないと思うからちゃんとセリフを
覚えた、というエピソードがある。
怒鳴られた相手役の俳優さんはお気の毒、なんという理不尽さ。
注意するのも、怒るのも、回り道がある。
素直な人の中にはすぐに気づかない人もいるかも知れないなあ、と思う。