映画「スモーク」の原作になった短編小説『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』の著者。
「物語とは、それを語ることが出来る人に起こるものだ、それが真実だと思う。
多くの人は気づかないが、気がつくことができれば何かが違う。興味深いと感じるはずだ。そのためには目を見開く必要がある」(ポール・オースター)
イギリス在住の日本女性のブログを5〜6年前から読ませて頂いている。
海外に住む日本人の生活を知りたくて辿り着いたブログ。
異国の生活習慣や考え方、人間関係などを、日々の出来事を通して分りやすく、時には面白可笑しく
声を出して笑ってしまうような表現で書かれている。読んでいると風景や状況が浮かんでくる。
ある日、その方のブログのコメントを読むと「私もイギリスに住んでいるが、あなたのように毎日々様々な出来事は起こりません。どうしてあなたばかりに色々な事が起こるのでしょうか」というような内容。ちょっとひっかかるような書き方であった。
最近、ポール・オースター氏のインタビュー動画を観て「あっ、これか!」と思ったのである。
同じ出来事が起きても個々によって受け止め方が違うのは当然、人によってはその出来事は気にするほどのことでもなく、ある人にとっては大切なことだったりする。
イギリス在住の方のブログにコメントを書いた人は特に批判的なことを書いたのではなく、ただ正直に不思議に思ったのかも知れない。
私の場合は外へ出れば何か見る、何か感じることは多い。でも、それは外に目を向けていればのこと。外出してもずっと頭の中で考え事をしていれば目に見えるものはただ通り過ぎて行くだけでほとんど何も感じない。
「ぼーっと生きてんじゃないよ!」と誰かに叱られそうである。