出演者:ブラッドリー・クーパー、ジェレミー・アイアンズ、デニス・クエイド
パリの骨董品店で買った鞄から一束のタイプライターで打った原稿を見つける。主人公の男性は物語に感動して自分の作品として発表すると、たちまちベストセラーとなった。
アメリカ青年が異国パリ・フランスで美しい女性と恋をして家庭を持ち、若い夫婦には子供が出来た。喜んだのもつかの間、その子は生後間もなく亡くなってしまう。夫と妻の心の距離は広がり、妻はしばらく実家へ帰る。その間、夫は湧き出る感情を言葉にした物語を書き上げる。妻と生まれた子供と自分の物語「窓辺の涙」は、喜びと苦しさから生まれた言葉で綴られたものである。
その物語を妻に読んでもらおうと彼女のもとへ向かい原稿を置いて行く。
数日後、妻はその原稿を読まないまま夫のもとへ戻るが、原稿の入ったカバンを汽車の中に置き忘れてしまう。夫は駅へ走り探すが見つかることはなかった。
その後、激しい喪失感で日々を過ごす夫は、ある日妻をおいてアメリカへ帰国する。時が経ち、夫は通勤途中の小さな駅で停まった汽車の窓から偶然に妻の姿を見つける。彼女は新しい夫とその間にできたらしい幼い子供がいた。汽車が走り始めた時、ホームにいた元妻が元夫に気づく。元夫は彼女に手を上げて挨拶をし、元妻もそれに答えるように手をあげる。
幸せそうな美しい元妻と翳りのある美しい元夫の最後の姿である。
青年だった元夫はやがて老人になり、自分の書いた物語が誰かの手によって世に出されベストセラーになっていることに驚く。この物語の筆者だという若者に会い、それは自分が書いたものだと告白する。
その物語を世に出した時から心のどこかに不安があった若者は動揺する。筆者だと名乗った若者は老人に償おうとするが、老人は言う。
「言葉を奪うなら、その苦しみも背負え」
老人は元妻との再会の時のことを若者に語る。
「それまでずっと彼女のことが気がかりだった。自分の行動に苦しんだ。ある日、突然彼女が目の前に現れ、彼女は幸せそうだった。傷つかなかったといえば嘘になるが、気が楽になった。吹っ切れた。過去にとらわれず歩き出せた」
そして若者に言う「行け、振り向くな。自分が選んだ人生を生きるしかない」
いくつかの気づき、教えがある深い映画であった。
出会いとか、思いがけない再会とか、それらは必要だから起こるのだなあと思えた。