ストーリーテラー(英: storyteller)は、物語の語り手、あるいは話のうまい人、筋立ての巧みな作家を意味する。
先月他界された歌手の大橋純子さんはご自身を“ストーリーテラー”だと話す。
その歌の主人公になって唄うのではなく、聴く人に物語を伝える。
だから、発声を抑え気味に心がけているとのこと。
大橋さんの歌声を初めてテレビで聴いたのは私がまだ大人になっていない頃で、「美しい声で流れる
ように唄う女性だなあ」と感じたのは、そういうことだったのかと今になって思う。
とても話の上手な友人がいる。彼女の話し方は穏やかで、滑らかに言葉が出て来る。
感情が強くなるところは少し声音が変わる程度。「それで?それからどうなったの?」といつも話の
続きを聞きたくなる。
決して大げさではなく、彼女自身の感情の伝え方を強調しすぎない。
彼女の話すことはひとつのストーリーとして記憶に残るのである。
それとは正反対に、自分の感情をメインに聞き手にぶつけてくる友人がいる。
あまりにも感情的になっている時は何が起きたのかその事実を知るのが難しい。彼女が怒ったり、感激したりしたことはわかるが、実際に何が起きたのかはっきり理解できない時がある。
あとになって考えるとその出来事よりも「あの人、凄く怒っていたなあ」ということだけが記憶に
のこる。
私自身も感情的になりやすい性格なので、出来事をありのまま聞き手に伝えるのがなかなか難しい時がある。自分の感情が先行してしまっている時が多々あり、そういう時は、聞いている相手の様子を見てわかる。
「フルパワーで歌うとストーリーテラーとしての役割が果たせず、客席が白けてしまう」と大橋さんはインタビューで語っておられる。
とても興味深いお話である。