神楽坂は少し敷居が高いと考えていた街である。

若い頃は「大人の街」と思っていた。

 

知り合いの銀座のママから「二葉(ふたば)のちらし寿司を差し入れなきゃ」という言葉を何度か聞いたことがある。(二葉は既に閉店)

ママのお店に通うお客様たちが神楽坂界隈で麻雀をする夜のことである。

 

「拝啓、父上様」(脚本:倉本聰さん 2007年)

神楽坂の料亭を舞台にしたドラマ。主人公の母親が経営する小さなバー、コーヒーをサイフォンで入れてくれる喫茶店、路地裏の階段、石畳、素敵な街にうつった。

 

昨日の日曜日、「そうだ、神楽坂へ行ってみよう」と思いつき地下鉄に乗った。

東西線の神楽坂駅から表へ出ると、目の前に神楽坂通りがある。

けっこう人が多い、快晴の休日だもの。

 

左右にお店が建ち並び、どのお店も混雑している。

小さな路地に入るとお洒落なレストランがいくつもある。

 

外のテラスで優雅にワイングラスをかたむけひとりで食事をする外国人紳士。

日本に住んでおられる方かも知れない。落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 

その向かい側にみつけたスイーツのお店、NYのチカリシャスの支店が神楽坂に。

 

ゆっくりと毘沙門天 善國寺を通り過ぎまだまだ商店は続く。

どこまで続くのだろうと思っていると、人の集団。

 

お祭りが始まった、阿波踊りである。

なんと、ちょうど目の前からスタートした。全部で7連。

 

積み重なる経験が身につける熟練の美しさに見入る。

 

子供たちの弾けるようなエネルギーに惹きつけられる。

花火が上がるようにのびのびと飛び跳ねる集団。

 

少女たちの踊りは自信に満ちている。

手の所作、身のこなし、どれだけ練習を重ねてきたのだろう。

 

心のどこかで憧れていた街。

 

思いつきで地下鉄に乗ったが、活気あふれるお祭りに遭遇。

幸先よし、と喜ぶ。