朝ドラ、主人公の実家が銭湯でいつも賑やかな様子が楽しい。
二十歳の頃、目黒駅から大岡山小学校行きのバスに乗り6〜7分の所に住んでいた。
バス停を降りてすぐに商店街の入り口があり、ちょうど商店街が終わるところに当時新築のアパートを借りた。端から端まで歩いても5〜6分の小さな商店街である。
新築アパートにお風呂がないのが少し不思議だったが、目の前に銭湯があった。2階の窓から、銭湯の入り口が真正面に見える。人の出入りが確認出来るので、混んでいるか、空いているか、だいたい
わかる。とても便利だった。
その銭湯が休日の日、商店街の入り口にある銭湯に行った。どちらも古い銭湯だったが、入口側にある方が更に古いようだった。
その銭湯が、のちに知り合う友人の実家だったとは、世の中は狭い。
友人は私よりいくつか年上の男性で、知り合った時は25〜26歳だったと思う。
既に私は目黒のアパートから別の場所へ引っ越していたので、友人の銭湯へ行くこともなかった。
実家が銭湯だという話から、「どこ?」となり、「私、行ったことあるんだけど。まさか、番台に
座ってないよね」「俺は座ったことないけど、兄貴は座ってたぜ」と笑う。
お兄さん曰く、番台に座る時はずっと下をむいていたとのこと。
そういえば、ずっとうつむいていた男性がいたような気がすると、いい加減なことを思う私である。
当時は既に銭湯へ通う人は少なくなっていたと思う。
テレビドラマで見るような賑やかさや活気はなかった。
商店街の入り口と出口にあった銭湯は、今はどちらも廃業、跡形もない。
でも、私が住んでいたアパートはまだあったのだ。いったいどこに銭湯があるのだろうか、不便ではないだろうかと余計なことを心配する。
故郷の街なかに「温泉」がある。サウナあり、マッサージのサービスもあり、のんびり食事が出来る
広いスペースもある。
数年前の冬、少し長い滞在をしていた時にサウナに入りたくて何度も訪れた。
そこで、子供の頃に銭湯で知り合った私よりも10歳ほど年上のSさんがいた。
もう何十年も会っていないのに、お互いにすぐにわかった。銭湯でしかあったことのない人なのだが。
体を洗いながら「今までどうしていたの」という話になり、会話が止まらない。
お互いの親のこと、兄弟のこと、現在のこと・・・
昔、銭湯は社交の場でもあり、活気のある生活の一部がそこにあったような気がする。