ルーマニア、マラムレシュ地方のウクライナ国境近く、サプンツァ村に「世界で一番陽気な墓」が
ある。
1935年に村人のパトラシュ氏が故人の生前の職業や生活などをユーモラスな彫刻を墓標にしたのが始まり。
生前に自分が希望したもの、亡くなった後に家族がつくったもの、どの墓標もとても個性的である。
ユニークな墓標があった。
「どうか皆さん彼女の墓標の前ではお静かに願います。大きな声で騒ぐとこの怖ろしい姑が起きてしまうかもしれません。どうか彼女を二度と起こさないようにお願いします」
木でできた「陽気な墓」の墓標には、故人の職業や死因の絵と文字が、青をベースとしたカラフルな色で描かれている。
バーテンダー、木こり、床屋、羊飼い、教師、車の事故の様子、ダンスをしている姿、お酒で亡くなった人、溺死した人、戦士した人、いろいろ。
現在はバスで観光客が訪れるほどの名所になっている。
ルーマニア・サプンツァ村の陽気な墓のように、ユニークな墓標をつくるとしたらどんなものに
なるだろう。
母にはひとりの兄と5人の弟がいる。昔から自分のことを「七福神」と自慢していた。7人の神の中でひとりだけ女の神。母の墓標には「七福神」の絵を描こう。大威張りの母は真ん中、その後ろに泣いている6人の兄弟。母は女ひとりということで甘やかされ、わがままに育ったのである。
知人のある女性には、墓標の真ん中に彼女、その左右にふたつの仏壇を描こう。
彼女は最初の夫が亡くなり、まず一つ目の仏壇を買った。ずいぶん後に再婚し、2度目の夫も亡くなったのだが、同じ仏壇に入れるのは両者に申し訳ないと言い、新たに仏壇を買い、それぞれを違う部屋に置いた。
可能であれば、生きている間に本人の希望でつくるのが理想的だと思う。
自分のはどんなものがいいだろうかと考えるが、なかなか思い浮かばない。
人のユニークな部分は見えるが、自分のことには気づかないものなのかも知れない。