パリの素敵な八百屋さん。

辻仁成さんの「ボンジュール パリ ごはん」に毎回登場する。

オーナーはフランス人のマーシャルさん。

 

それほど大きくはない店内に、色とりどりの野菜や果物が綺麗に並べられている。

季節ごとに色彩は変わるが、いつもカラフルで、見ていて楽しくなるし、

日本ではあまり見ない野菜が興味をそそる。

 

「今はこれが美味しいよ」

「これはこうやって食べたらいいよ」

 

味見をさせてくれ、おまけまでくれる。

 

選びぬかれたひとつひとつの野菜や果物の並べ方にマーシャルさんの愛情を感じる。

街にこんな八百屋さんがあったらなあ、と羨ましくなる。

料理をしたくなる魔法にかかってしまいそうである。

 

それにしても、辻さんの手料理は材料が豊富で出来上がりも美しく食欲をそそる。

ご本人は簡単にチャチャチャという感じだが、私にとっては手のかかるお料理が多い。

 

料理に対する意識の違いだろうかと思う。

毎回の食事を楽しむことは人生を丁寧に生きることのひとつ、と感じる。

 

頭ではわかっているのだが・・・

良く言えば素材の味を活かした料理、超簡単なものしか食べていない。

特にこの夏は冷たい麺ばかり。

 

赤、黄色、オレンジのパプリカ、ズッキーニ、紫、黄色のカリフラワー、一株ごとのセロリー、

ブロッコリー、アボカド、トマト、新鮮な緑の葉が「これでもか!」とついてくる濃いオレンジ色の

人参、マンゴー、メロン、ぶどう、パイナップル、いちご、レモンなどの果物。

 

それらを買ってきてキッチンに並べただけで身体の中に新鮮な血がめぐり、健康になったような気が

するから面白い。

 

手の込んだものでも、簡単なものでも、料理に対する意識が人生を豊かにする。

 

そう思わせてくれる「ボンジュール、辻仁成のパリごはん」である。