(「ワタシが日本に住む理由」より)

チェコ・プラハ生まれのクリスティーナさん、日本在住14年。

 

幼稚園の時、世界の国の国旗が載っている本にあった”白に赤いまる”の国旗を「これはどこの国?」と

先生に訊ねたら「知らない」との答え。家へ帰って母親に聞いたら「先生、そんなことも知らないの?」と驚き「それは日本よ」と教えてくれた。その時に初めて日本という国があることを知った

という。

 

高校生の頃、自宅の近所に世界のお茶専門の喫茶店がオープン、そこで日本茶の味に惹かれる。

喫茶店に置いてあった日本の文化、禅の本を読み「侘び・寂び」という言葉を知る。

 

もともと、物質的な豊かさより、精神的な豊かさを求める気持ちが強かったという。

 

その後、大学3年の時に早稲田大学へ交換留学生として入学。

1年後にチェコへ帰国して、再度、京都の大学へ進学のために来日。

 

現在は右京区にある栖賢寺の住職さんと結婚、茶道の講師をしている。

 

クリスティーナさんは日本語が流暢で、言葉遣いが丁寧で美しい。

表現力に富み、語彙力が豊かである。

 

日本庭園を語る時、灯籠や苔の美しさを「侘び・寂び、趣き、風情、曖昧な美しさ」といった言葉を

使って表現する。

 

また、そういう美しさは「今までの自分の経験を思い出して感じ取る」のだという。

「それが日本人の美意識であり、日本文化の魅力、五感で感じる日本文化」と語る。

 

「引き算の美学」という言葉を聞いたことはあるが、私は今まで一度も使ったことはない。

クリスティーナさんは、枯山水を「引き算の美学」だという。

 

*枯山水(かれさんすい) : 水を用いずに岩や砂などで山水を表現した日本庭園の様式の一つ。

(辞書より)

 

*引き算の美学:目立たせたいものをより際立たせるために、必要ではないものを削ぎ落とすこと。

(辞書より)

 

毎朝、本堂で40分の座禅、その後に読経。そして、庭園などのお掃除。

座禅で整えた心を、そのままキープしながら通常の生活を送る。

 

クリスティーナさんの表現豊かな美しい日本語は、聞いていて心地よい。

そして、自分がいつも同じ言葉しか使っていないことに気づかされた。

 

このままでは、たくさんの言葉を忘れてしまいそうである。

 

なにか“言葉遊び”を探してみようかと思う。