数年前に巡り会ったアメリカ在住女性のブログ。
こんなに優しく思いやりのある女性、ご家族が存在するのだろうかと思った。
彼女のブログを読むと、心に安らぎを覚えた。
今年1月に旦那様がご病気で倒れて自宅介護になり、それ依頼ブログの更新はなくなっていた。
数日前、久々に彼女のブログを開けてみたら更新されている。
旦那様が数週間前に亡くなられたと書かれてあった。
7ヶ月余りの看病の日々を、毎日楽しく過ごせたという。旦那様は苦痛を訴えず、常に思いやりにあふれていたとのこと。介護・看病は、辛いことはなく、今まで家族を優先的に考え、大切に支えてきてくれたことへの恩返しができる嬉しさを感じていたと書かれている。
どちらも不平不満を言わず、旦那様は彼女に「面倒をかけてすまない」と常に言葉にし、彼女は
「ずっと一緒にいられることがどんなに楽しいことか」と答えたそうだ。
旦那様がどれだけ家族を大切にして来られたかが伺える。
家族同様、他の人にも同じように接して来られたそうである。
このお話を読ませて頂き、心が浄化されるような思いであった。
10年前、母の入院先でのこと。
全身でぷりぷり怒りを表し、院内のランドリーにやってきた女性。洗濯機が8台あるのに、何故か乾燥機は2台しかない。そのかわり大きい。私は今まさにその乾燥機に洗い終わった洗濯物を入れようとしていたところ。女性は苛々した様子で「乾燥機、空いていないのね」と言う。「お急ぎなら、どうぞ
先に使って下さい」と言うと、彼女は「助かるわ」と、終わったばかりの洗濯物を乾燥機に移した。
女性はランドリーに置かれている椅子に座り話し始めた。「亡くなった主人のお父さんなのよ。主人が一人っ子でね、お姑さんも亡くなり、面倒をみるのは私しかいないの」とため息をつく。
「仕事をしているからさ、時間をやりくりして来ているのに、それを当たり前だと思っているのよね。
この時間に来ても“お昼ごはんは食べたのかい”というひと言もない」やりきれない様子である。
もし労いの言葉があったなら、彼女の怒りはこんなに膨らまなかったのではないだろうか。亡き息子の妻が病院に来てくれる度に感謝の気持ちを伝えていたなら、彼女は優しい気持ちになれたのではないだろうか、と思うのである。
私自身も入院中の母が日増しに元気になってくると小さな諍いが起きた。
今考えれば、恩返しと思って感謝の気持ちだけで接するべきだったのにと反省するのである。