2010年にスタートした、BRANDON STANTONブランドン・スタントンさんのフォトブログ。
その後、2013年、同タイトルで本が出版されている。
当初はNYのストリート、公園などで出会った人々の写真とそれぞれの簡単なストーリーが掲載されて
いたが、その後アメリカ国内、現在はブランドンさんが世界各国を訪れている。
人々が語るそれぞれの人生は興味深く、時にはとても重く、深く考えさせられるものがある。
グランドセントラル・ステーション、NYライブラリー、ブライアント・パーク近辺での撮影も多く、
知人の30代の女性は「私、声をかけられたくてブライアント・パークに座っているのよ。
わくわくするわ!」と言う。私にこのサイトを勧めてくれたのもアメリカ人の30代男性であり、
あらためて人気と注目度の高さを知ったのである。
ここ数年はあまり読んでいないのだが、以前の写真・記事で強く記憶に残っている70代のご夫妻が
いる。
ある朝、突然ドアを強く叩く音がする。何事かと驚きドアを開けるとそこには数人のポリスが。
夫は警察へ連行された。
結婚をして何十年もの間、夫は偽名を使って生活をしていたという。本当の名前は妻が聞き覚えのないもの。夫は生まれ故郷で間違いを犯し、それを逃れる為に偽造した身分証明書で他州へ渡り人生を過ごしていたのだ。
夫が逮捕された後、ショックながらも妻は夫の罪を軽くしたいと奔走し、出来る限りのことをした。
私の記憶では、その夫は短い刑期を無事に終えて妻の元へ戻った。
この記事の内容を知人男性に話し「こんなこと出来るの? 偽名で社会保障番号や運転免許証が簡単に取得できるの?こんな事あり得る?」と尋ねた。
戸惑うことなく「イエス」と答える。このように暮らしている人は少なくないという。日本と違って
戸籍謄本というものがない。まるで小説やテレビドラマのようなストーリーだが、実際にそのように
暮らしている人はいるという。
このサイトに掲載される人たちのストーリーは多種多様。こんなことが起きるの?と驚くことや、心が痛くなることも多い。もちろん、ハッピーなストーリーもあり、たくさんの人達の人生の一部を知る
機会になる。
多くの人が心の奥に「誰かに自分の話を聞いてほしい」という気持ちがあるのだろうか。
写真撮影・取材をするブランドさんのお人柄と”人を信頼させる何か”が多くの人の心を開く
のかも知れない。彼の才能だと思う。