スーパーの店頭でカルピスの試飲と商品の販売がされていた。

「誕生日なのでね」と店員さんが何か作業をしながらつぶやいていたので、

「ふ〜ん、誕生日、誰のだろうね」と思っていたら、

「明日はカルピスの誕生日です!」と呼び込みを始めた。

 

思わず笑ってしまった。そうか、カルピスの誕生日か。

店頭ではピーチとオリジナルの試飲に人が集まってきた。

ピーチは桃色、ひな祭りに合いそうな色だけど夏の果物。

 

1919年(大正8年)7月7日 - カルピス発売。

 

幼い頃(昭和)、冷蔵庫には自動製氷機はついていなかった。

 

夏になるとカルピスの消費が多くなったが、氷がきれた時にはできるまで待たなければならない。

兄と妹もいるから3人で氷の取り合いになる時がある。

 

「誰!氷を作っていないのは!?」と大騒動になる時もあるのだ。

 

氷を使ったあとに製氷皿に水を入れておくルールがあるのに、面倒がってつくらないヤツがいる。

私も何度か見て見ぬふりをした覚えがあるのだけど。

 

台所の水道で製氷皿に水を入れて冷凍庫に運ぶ。その距離はほんの少しなのだが、手がぶれて床に

こぼれたりする。その床を拭くのが面倒で嫌だった。

 

冷凍庫まで水をこぼさずに運ぶあの姿が今思い返すと滑稽である。

近くに母がいると「早く締めなさい!」と言われるし。

 

現在の我が家の冷蔵庫のサイズはやや小さめ、自動製氷機はついていない。

帰国して初めての夏、懐かしくて買ったカルピス・マンゴー味。炭酸水で割って飲んだら一時病みつきになった。今年も暑くなってから早々に買い求め冷蔵庫に冷やしてある。

 

いまは、氷をつくるのを面倒に感じることはない。

 

だから、あの子供時代の姿が滑稽でならない。両手で製氷皿を肩の位置まであげて床と平行に保つ、

製氷皿を凝視しながら、こぼれないように忍び足で冷蔵庫に近づく。

 

そうだ、問題は冷凍庫のドアを開ける時なのだ。両手で持っていた製氷皿を片手に預けるのだから。

 

今は「早く閉めなさい!」という母もいないので、冷凍庫のドアを開けたままでその作業を行って

いる。

 

そうか、カルピスは104歳を迎えたのか。

 

今日はマンゴー・カルピスで祝うつもりである。