アメリカのTV番組。
レストラン、ショッピング・ストアー、スーパー・マーケットなどに隠しカメラを設置。
俳優たちがさまざまな状況を演じる。それに対して周りにいる人達がどのような反応、行動をするか。その映像に、人々の善意をみることが出来る。
ある日、シングルマザーと小学生の息子、幼稚園の娘の3人家族がダイナー(飲食店)を訪れた。
今日は息子の誕生日。金銭的な余裕がないので一人分の料理を注文する。ふたりの子供たちは
もっと食べたいと求める。母は、皆でシェアーしましょうと諭す。(役者さんが演じる)
その会話が聞こえてきた周りのお客さんたちの反応は。
1) 自分の娘と二人で食事をしていた女性は、ふたりの子供達が席を離れた時にシングルマザーを
抱きしめ「私がお金を払うから料理を注文しなさい、あなたの分もよ!ケーキも!。そして、すべて
あなたが買ってあげたことにして」と微笑む。
テーブルに戻ってきた子供達は声をあげて大喜びしている。
それを近くで見ている”支払いを申し出た女性”とその娘が涙する。
ネタバレ後のコメント:「子供たちを喜ばせるのは母親がしてくれたという愛情。私が何かをしたと
いうことを子供達が知る必要なまったくないはい」
2) 一人で食事をしていた20代後半と思われる男性。親子の会話を聞いて、サーバーに人数分の料理を運ぶようにお願いする。
シングルマザーが「こんなお気遣いをしてくれなくても」と困惑した様子で言うと、
「誰でも助けが必要な時があるよ、僕も同じ経験をしている」
少年に向かって「誕生日でしょう、ケーキもオーダーして」と笑顔を見せる。
ネタバレ後のコメント:「自分もシングルマザーで育った。少年と自分の姿を重ねた」と告白。
司会者の「何を伝えたかったのか」の質問に「この世界には優しさもあるということ」
彼の行動を見ていた他のテーブルの女性は、”親子の支払いを申し出た彼”の支払いを自分がしようと
決めていたという。Pay it forward (恩送り)のつもりで。
* Pay it forward :自分が受けた善意を他の誰かに渡すことで、善意をその先につないでいくこと。
3) 自分の子供と食事にきていた女性。シングルマザーが席を立った時、彼女の後を追い”I know it’s not my business, but^”(私には関係のないことだとわかっているけども)と事情を訊ねる。
話を聞いた彼女はシングルマザーと手をつなぎ自分の席へ戻る。バッグから100ドル紙幣を取り出してシングルマザーに渡す。「いつかあなたが誰かに同じことをしてあげて」と言葉を添えて。
人に優しくすることで自分の心が癒やされ、豊かになるということを感じた映像である。
実際は、”その時”に人の親切を受け取ることが”難しい状況”の人もいる。
NYバスの中でのこと。
よちよち歩きの子供を連れていた若い母親に「危ないから、おさえてあげた方がいいよ」と優しく
善意の言葉をかけた男性に ”It’s not your business”(あなたには関係ない、余計なお世話だ)と
返したその母の声には怒りが込められていた。
良かれと思ってやったことが逆効果になることがある。
特に他国に於いては習慣や考え方の違いが大きい故、状況によってはどういう対応が最善なのか
迷う時がある。
アメリカに住んで感じたのは、アメリカ人は親切で優しいということ。もちろん、そうでない人も
たくさんいるが、私自身が何度も善意のある人に助けたれたことがあるのは事実である。