昨日は最高気温が33度を超すといわれ、早めに用事を済ませるために午前中の早い時間に外出した。
猛暑でもカラスはいる。朝は一日のうちで一番元気な様子。
カラスは人間を襲ってくることがあるらしいので、夏は日傘で戦う心の準備をいつもしている。
亡き母が80歳になる頃だった。ふたりで買い物へ行く時に、通りのゴミ置き場を通った時のこと、
一羽の大きなカラスがそのまわりを歩いていた。ゴミにかぶせてあるネットをどうやってくぐろうか
思案中のように見えた。
母はカラスを毛嫌いしている。いつも、「ああ、嫌だ、嫌だ」と視線をそらして足早にその場を通り過ぎたものだ。
ところが、その時、母はカラスをまじまじと見て、言ったのだ。
「ほお!なんと色艶の良いこと!」
年を重ねるということはこういうことなのかと関心をした出来事のひとつである。
あれだけ暑かったのに、ロング・コートを着た若い女性を見かけた。冬だったらさぞかし気持ちが良いだろうと思えるふわふわのコートである。思わず二度見をしてしまった。女性は涼しそうな顔をしている。汗などかいていないように見えた。狭い裏道、何かの撮影でもなさそうだし、何だろう。
いつもの道が両手に重い荷物と暑さで倍以上の距離に感じる。
私の住むアパートの入り口に自動販売機がある。その真正面にに若い男性が仰向けに膝を立てて寝て
いた。すぐ目の前にバス停がり、日陰になっているアパートの建物のその場所で数人の男性がバスを
待っているようであるが、誰も気にとめていない様子。
若い男性の顔は苦しそうには見えない。酒の匂いは感じなかった。ただ、涼んでいるだけだろうか、
ちょっと変わった涼み方だけど。
とりあえず、私は部屋に荷物を置きに行った。若者に冷たい飲み物をと思ったが、冷えているのは炭酸しかない。普通の水の方が良いだろう。でも、冷えていない。待てよ、彼は自動販売機の前に寝ているではないか。冷えている水はそこにある。
荷物を部屋に置いて、スマホと小銭入れだけを持ってエレベーターに乗った。
こういう場合は110番か119番か。
下に降りると、ほんの数分しかたっていないというのに、若者の姿はない。
「なんだ」と思いながらも安堵。
夕方のTVで“着る扇風機”というものを紹介していた。
早速ネットで調べたが、昼に見かけた女性が着ていたような長いコートのようなものはない。
まだ世に出ていない新商品だろうか。
いずれにしても「人はそれぞれ事情を抱えて生きている」という事なのだろう。