「吐血したので病院へ行ってきます。何かあった時の連絡先はお姉さんにしても良いですか」と、

妹から連絡が来た。

 

驚いて「どうしたの?大丈夫?」と返信する。「パパが入院したからその気苦労かも」との返事。

 

妹の夫は仙台に単身赴任中であるが、数日前に入院したとのこと。朝起きたら何かちょっと変だなあと気付き、自ら近所の個人病院へ行き、そこの医師の判断で救急車が呼ばれ、設備の整った大きな病院へ運ばれた。突然、救急隊員から電話を受けた妹は混乱したが、すぐに夫が電話に出てことのいきさつを説明。普通に話せるくらいだから命に関わることではないと安堵した。ここのところ多忙だったための過労が原因らしいが、これを機にいろいろ調べることになった。医師に多めの喫煙と飲酒を戒められたことは、本人にとって良いことだと思っている。家族にとっても有り難いことである。

 

妹はすぐに現地へかけつけ、とりあえず3泊して自宅へ戻った。そしてすぐにまた仙台へ行く予定で

ある。

 

それよりも妹の吐血の方が心配になった。早く病院へ行けと促して電話を切った。

 

夕方再度連絡があった。いくつかの検査をした結果、何かの原因で喉に傷が出来、その傷がかさぶたになり、そのかさぶたが何かの拍子で取れてそこから出血したのではないかとのこと。

 

どうせ、魚の骨でも食べたか、好物のかたい乾物でも食べたのだろうと、「気苦労からの吐血」と思ったことに腹が立ったが、その言葉を飲み込んだ。夫が入院していることは気苦労に違いない。

 

義理の弟の入院は彼の83歳になる母には秘密である。それを聞いただけでお母さんが寝込んでしまうかも知れない。妹は医師担当と話をした後に、義理の母と同居している義理の兄に連絡をしたが、その時、義理の兄は何故か既に知っていたとのこと。

 

妹夫婦の娘である。この22歳になる私の姪は驚くほどおしゃべりである。

義理の母に電話をしなかったことだけは褒めてやらねばなるまい。

 

妹は夫の入院の手続き、会社への挨拶をしてから、とりあえず一旦自宅へ戻ったわけであるが、3日間不在にしていただけで、キッチンはものすごいことになっていたらしい。妹も疲れている。姪も仕事で遅く帰ってくるので疲れている。「でも、洗い物くらいしなさいよ、あなたが出来ないなら、おばちゃん(私のことである)に来てもらうからね」と言った我が妹。

 

姪は翌日からきちんと洗い物をしているらしい。

 

余程、叔母のことが怖いか、苦手かである。

小さい頃、いや、つい最近まで、あんなに可愛がったのにと、ショックを受けている叔母である。

 

義理の弟はすっかり回復し、あれを差し入れろ、これを差し入れろとわがままを

言いたい放題なのは、何より安堵なことである。