バイオレンス・シーンは苦手なので映画館で鑑賞することはないと思うけれども、

ストーリーにはとても興味がある。

 

北野監督曰く、戦国時代の綺麗事ではない実態に近いものを描きたかった。

英雄として描かれることが多い戦国武将たちであるが、実際はどうなのだろう。

「この映画の戦国武将は全員悪人」らしい。

明智光秀の"本能寺の変"に関しては80以上の説があり、どれが真実なのかわからないとのことだが、

この映画では、秀吉が仕組んだ陰謀説という視点でつくられているとのこと。

 

人間は自分の信じたいように考えるものだと思っている。

過去にいくつも制作された歴史ドラマの中で、私は大河ドラマ「キング・オブ・ジパング」の

明智光秀がいちばん好きである。あれほど振る舞いが紳士然とした明智光秀をみたことがない。

創り上げられた人物像だと理解しているが、本物はどうかなど知る由もないではないか。

 

織田信長役は加瀬亮さん。以前、テレビドラマで観た加瀬さんは柔らかいイメージだったが、この映画では目を背けたくなるほどの悪役ぶりであるらしい。予告編を観ただけでもいかにも悪党な顔に驚愕する。北野監督は「加瀬亮さんは皆のイメージと離れた役を演じると光る」と話す。ひとりの人間をまったく違う角度から見る特別な目を持っていることに、ごくありふれた人間との違いを感じてしまう。

 

2021年末にNetflixで放映された「浅草キッド」(監督:劇団ひとり)は、若き日の北野武氏と師匠

深見千三郎氏の人間味あふれる映画。北野武役を柳楽優弥さんが演じている。

 

映画を観た北野氏の感想は、「恥ずかしかった」「ちょっと、あれ、当たる理由が分かるね」「すごい泣かせるから」「でも実際は悲惨だったんだよ。自分も泣いたけどキレイになっている。映画らしくなっている。実際は語れないほどの酷い目にも遭っている」と告白。「映画っていいなと思うよ、キレイに上がっているから」。

 

私自身の人生を映画にするならば、やはり綺麗にしあげたいと思うのである。