実話をもとに作られた映画。
アイルランド生まれの主人公フィロミナが10代で未婚のまま妊娠し修道院で出産、その後フェノミナに知らされずにアメリカへ養子に出された息子を、元BBCのジャーナリストだったマーティンと二人で探す旅に出る。
シリアスな内容のドラマだが、フィロミナとマーティンのやりとりがおもしろ可笑しく、ユーモラスさも楽しめる。
アメリカへ渡り、いよいよ息子と会えるかも知れない可能性が高まってくると、フェノミナは不安に
なる。もし、息子が戦死していたり、肥満だったら。
「何故、肥満だと?」
「アメリカは食べ物の量が多いから」
調べが進んでいくと、息子は大統領の顧問弁護士の一人として働いていたことがあり、当時アメリカに赴任していたアンソニーと会っていたことがわかる。「どんな人だった?」と尋ねるも、ハイ!と挨拶を交わしただけだと困惑気味に答えるマーティン。フェノミナはそれだけでも感激するのである。
フェノミナが気になるのは、「息子は私のことを想ってくれていただろうか。私は毎日想っていた」
事実は想像していなかった展開になり、フェノミナとマーティンは当時のことを知っている唯一の
シスターに会いにアイルランドの修道院へ行く。
未成年者であり未婚のフェノミナが妊娠したことが罪であると主張し続けるシスター。彼女が自分の
正しさを主張すればするほど、私には辛そうに見える。
息子の行き先を隠していたシスターに、「あたなを赦す」とフェノミナ。
「僕は絶対に赦さない」とマーティン。
作中におけるカトリックの描写に関しては議論があがった。ニューヨーク・ポストは「カトリックへの悪質な攻撃である」と評し、制作側はニューヨーク・ポストに全面広告を出して抗議するなど、世間を騒がせる問題作となった。
現在も養子に出された子供の居場所がわからずにいる女性たちがいるとのこと。フェノミナは子供達の居場所を探し出す活動を支援するプロジェクトを立ち上げている。
50年間ものあいだ自分の中に秘めていたことを、勇気を出して娘に告白することから物事が
動き始めた。
少し前になるが、ちょっと思い切ったことをしようと計画を立てていた私に、親子ほども年齢の違う
年下のアメリカ人の友人が励ましの言葉をくれた。
「勇敢な行動は報われることがある」
“報われる” ではなく “報われることがある” というところが現実的で良い。
その彼が幼い頃からの夢を実現させようと旅立った。
陰ながら応援している!