あらすじ(公式サイトより抜粋)
失われたフィルムをめぐって、夢と現実、現在と過去、映画と人生が交差する―。
ヒット作に恵まれず、新作を撮る目処が立たない映画監督のジワン。彼女が引き受けたのは、60年代に活動した韓国の女性監督、ホン・ジェウォンが残した映画『女判事』の欠落した音声を吹き込むという仕事だった。作業を進めながらフィルムの一部が失われていることに気づいたジワンは、ホン監督の家族や関係者のもとを訪ねながら真相を探っていく・・・。
映画を撮り続けたいという思いを抱きながらも、ジワンには母、妻としての日常生活がある。キャリアの曲がり角で立ち往生しそうになっている彼女がはじめた、失われたフィルムをめぐる旅。そこでジワンは女性が映画業界で活躍することが、今よりもずっと困難だった時代の真実を知る。夢と現実、現在と過去。その狭間を行きつ戻りつしながらも、ジワンはフィルムの修復とともに自分自身を回復させるようかのように人生を見つめ直し、新しい一歩を踏み出していく―。
まず、予告編のテロップに心惹かれた。
「映画を愛するすべての人へ。そして、かつて輝きながら消えていった者たちへ」
2020年に公開された“パラサイト”は私にとって初めての韓国映画であり、その面白さに
3回も観た映画である。
“オマージュ”には“パラサイト”で家政婦役を演じた俳優イ・ジョンウンさんが主演するというので
期待して観に行った。
あの強烈な個性の家政婦役と今回の映画監督役のイメージが違い過ぎて、同一人物が演じていると
認識するまでに時間を要した。それほど、上手な俳優ということだと思う。
一枚の白黒写真、「女性監督として活躍するには困難な時代(1960年代)」に映画に携わった
3人の女性の姿が写っている。写真の中で“生きている”姿が美しい。
淡々と進んでいく中で、一箇所、涙が込み上げてきたシーンがある。
かつて輝いていた人が、自分の輝いていた時間を無言で見送るシーン(これは私個人の解釈である)。
編集に携わっていた役柄を演じるイ・ジュシルさんの演技が素晴らしい。
彼女の姿がいつまでものこっている。
本編を見終えて少し時間が経った頃、いろいろな思いが心に広がってくる映画であった。
今日も劇場を探して迷子になった。時間が差し迫っていたので道行く若い青年に尋ねた。
青年はすぐに自分のスマホで調べ、私を誘導してくれたのである。
あの青年にハッピーなことが起こりますように!