1999年 中国映画
父親の仕事を引き継いで山の郵便配達をすることになった息子。
息子にとっては初めて、父にとっては最後の郵便配達の3日間のお話。
山岳地帯の美しい風景は劇場で観たら壮観だと思う。
いくつかの部族が出て来る中に、目の見えない老婆が出てくる。
静かで威厳のある美しい姿はまるで絵画のようで、心まで惹きつけられる。
この3日の間に、息子は今まで知らなかった父を知り、父は大きくなった息子の
幼かった頃に思いを巡らす。
山岳地帯に住む人々の生活を、There is no life. という息子に、
父は「彼等には夢がある。夢がある限り、彼等は生きていける」
「厳しい人生を送っている人ほど、夢に価値があるのだ」と語る。
私は時々、呼吸をしているだけの自分に気づくことがある。
呼吸をしているだけでは本当の意味で生きているとは言えない。
年を重ねるごとに夢を持っていることに、不安を抱き始める人も多い。
こんな年齢になっても夢を持っていて良いのだろうかと。
この父親の言葉は大勢の人へのメッセージになっていると思う。
生きる希望になる。
ゆったりとした時間が流れるなかで、父と子の会話に心を動かされた映画であった。