「でも、いい人よ。いろんな事をたくさん教えてくれる。友達!」
清々しい声に、思わず後を振り向いた。
制服を着た中学生くらいの女子が3人、人通りの少ない道を話しながら私の後を通り過ぎたのだ。
それ以前の会話はわからないが、その言葉と澄んだ声に思わず振り返ってしまった。
次の交差点に差し掛かると、友達!と言った女子だけが「わたし、こっちだから」と言い
別の方向へ走って行った。
走り去った少女が爽やかな風を残してくれた。
散々悪口を言った後に「いい人なんだけどねえ」という言葉を何回も耳にしたことがある。
「友達でしょう?」と聞くと、「友達っていうか、たまにお茶するだけ」と、煮え切らない
態度になる。
脚本家の橋田壽賀子さんは、あるインタビューで「友達はいません。いりません。面倒です」と
断言されていた。また「力がある時には人は寄って来ます。力がないと人は寄ってきません」と
割り切ったことをおっしゃる。
なんと潔いお言葉だろう。
生きていく間にいろいろなものを背負う。時が来たら、余計なものを削ぎ落とす必要があるの
だと思う。そうしないと、曖昧で優柔不断になってしまうのかも知れない。
清々しく潔くありたいものである。