昨日、映画館で“ホイットニー・ヒューストン”を観てきた。

映画館は久々である。ネットで場所をちゃんと調べれば良いものを、

日比谷へ行けばわかるだろう、と自宅を出た。

映画館が”東京ミッドタウン日比谷”に入っていることさえ調べずに、

歩いて映画館らしき建物を探した。

最終的に”東京ミッドタウン日比谷”の4階にあると知りエスカレーターに乗る。

他の人には何の問題もないのだろうが、私は4階までたどり着くのに迷った。

何度か1階と2階を行ったり来たり、よ〜く矢印を見れば

なんのことはない、ちゃんと4階に着くのである。

 

チケット売り場のブースを探して並ぼうとした時、

ふたつあるブースの一つから大きな声が聞こえる。

最初は親子か友人同士の会話かと思ったが

よく見ると、チケット売り場の係員とお客との会話であった。

 

「私は嫌!こんな席、絶対に嫌!こんな席に座りたくない!」

 

後ろ姿しか見えないが、60代女性かと思う。

 

「他にないの!」

 

係員は何か説明しているが、声が小さくて聞こえない。

普通は後ろ姿の人の声が聞きにくいものだが、逆である。

そのうち、60代女性の声は穏やかになった。

 

「そうねえ、こんな所の隣に敢えて座る人なんていないわよねえ。

あなた、どう思う」と、係員に話しかける。

 

私が係員だったら絶対に何も答えない。もし、そこに誰か座ったなら

あのお客はその時点で怒鳴り込んでくるに違いないだろう。

 

係員の接客は素晴らしかった。多少困った表情をしていたが、最後まで

丁寧な姿勢を崩さなかったばかりか、最終的にはお客さまをご機嫌にしたのである。

 

「ありがとね!」とその女性はチケットを手にして晴れやかにブースを去った。

 

なんと、自由奔放な人だろう。あの奔放さがほしい。

人に迷惑をかけない程度に自由奔放に生きたいものである。